映画配給会社のユナイテッドピープル(福岡市西区)はこのほど、創業15周年記念作として、映画「ソニータ」(監督:ロクサレ・ガエム・マガミ)の公開を目指してクラウドファンディングで資金調達を行っている。同作は、イランで難民として暮らす少女が親から結婚を強制されるが、逃れるためにラッパーとして成功を追いかける内容。ドキュメンタリー映画祭として世界的に権威の高いアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)で観客賞を受賞するなど高い評価を受けている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

一人の難民少女が逆境を乗り越えて夢を追う姿を描いた

主人公の少女ソニータは18歳。アフガニスタンで生まれ、イランで難民として暮らしている。故郷タリバンでは、紛争から逃れてきたため、パスポートや滞在許可証を持っていない。不法移民として暮らす彼女は、PTSDなど心の傷を癒すためにカウンセリングを受けている。恵まれたとはいえない環境で生きる彼女だが、夢がある。それは、ラッパーになること。

しかし、アフガニスタンに住む彼女の親は、お金と引き換えに強制的に見ず知らずの男性と結婚させようとする。同国では、強制結婚が慣習として残っており、ソニータを花嫁に差し出す代わりに、9000ドルを家族は得ることができる。

この状況で、ソニータは結婚よりもラッパーとして生きていく道を選ぶ。イランでは、女性が歌うことが禁止されており、不法移民である彼女に逆境が次々と襲い掛かる。

自らの力で人生を切り拓くソニータの勇姿を映したこのドキュメンタリーは、米国を代表する映画祭で長い歴史を誇るサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した。さらに、ドキュメンタリー映画祭として世界的に権威の高いアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)で観客賞を受賞するなど世界的に高い評価を受けた。

ユナイテッドピープルは、「人と人をつないで世界の課題解決をする」をミッションに、2002年7月5日に創業した。これまでに、社会派のドキュメンタリー映画を中心に、配給してきた。

同作品を15周年記念作品に選んだ理由について、同社の関根健次代表は、「ソニータは過酷な逆境の中でも、夢を見る力で乗り越えていきます。そんなソニータの姿を日本にも届けたいと思ったのは、彼女の夢を諦めずに、現実を動かしていく姿が、日本国内で、同じように夢を実現しようと頑張ろうとしている皆さんの後押しができるのではないかと思ったからです。もちろん、中東の紛争によって生まれている無数の難民たちの境遇を伝えるためという目的もありますが、それ以上に夢見ることの力を伝えたいと思いました」と話す。

クラウドファンディングサイト「モーションギャラリー」で200万円を集めており、資金提供者には特別鑑賞券や映画のエンドロールにクレジットとして氏名を記載する権利が与えられる。

同作品の公開日は2017年10月中旬アップリンク渋谷を予定している。その他、大阪、京都、神戸など全国5~15カ所での上映を予定している。

・映画「ソニータ」の公式サイトはこちら
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