購入すると途上国の子どもへ映画が届く自動販売機が誕生した。この自動販売機は東京キリンビバレッジサービス(東京・品川)が江戸川区に設置したもの。同社の映画好きな担当者がSNSで途上国の子どもへ映画を届けるNPOを知り、この取り組みが実現した。(寄稿=久保 史子)
寄付先の団体はNPO法人World Theater Project(ワールドシアタープロジェクト、以下WTP)。2012年からカンボジアで移動映画館を始め、現在までに農村部に暮らす4万人を超える子どもたちに映画上映を行っている。映画をきっかけに子どもの可能性が広がればというビジョンのもと、他国への展開も視野に入れ活動している。
東京キリンビバレッジサービスに勤める門平亮さんは、今年の5月にWTPのインスタグラムで活動を知った。幼少時代から大の映画好きで、映画を観ることで夢や希望をもらってきたという門平さん。
「映画を届ける活動は夢の種まき」というWTPのビジョンに共感し、何かできることはないか考えた。自身が務める会社の自動販売機のドリンクが売れることが寄付につながればと思いつき、団体の問合せフォームから熱いメッセージを送った。
自動販売機は、土地の権利者から一畳分のスペースの提供許可をもらえればどこでも設置が可能。難しい手続きも必要ない。ドリンクが売れれば設置先に支払われる手数料の一部がWTPへの寄付金となる。
今年の9月、WTP代表の教来石小織さんの紹介で、げんきらいふクリニック院長の山中光茂さんに出会った。山中さんも大の映画好きで、WTPの活動を支援している一人だ。
げんきらいふクリニックでは、訪問診療、在宅医療を行うスタッフが30名ほど勤めているが、医院の前に自動販売機はなかった。スタッフが近くに飲み物を買いに行けて、それが支援につながるならと山中さんは快諾。念願の1号機が設置された。将来的には2台、3台と増やしていきたいと門平さんは意気込む。
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