「環境への意識を高めたい。これが起業した理由です」――女優・柴咲コウは2016年にレトロワグラース(東京・渋谷)を立ち上げ、サステナブルがテーマのアパレルブランドや食品事業を展開してきた。「地球が存続できないと人が集う社会も存在できない。だから自然のサイクルを重要視している」と、環境への思いを話す。(オルタナS編集長=池田 真隆)

レトロワグラースを立ち上げた柴咲コウ 写真:高橋慎一

同社が展開するアパレルブランドMES VACANCES (ミヴァコンス)は英語でMy Holidayという意。地球の循環、生態系に負荷をかけないものづくり、着心地の良さ、メンテナンスの手軽さを追求し、自然にも着る人にも「優しい」アイテムを展開している。

食品ブランド「LTG FOODS」では、化学調味料不使用・ナチュラル志向のプロダクツを提供する。健やかに美しく調和のとれた暮らしのために、衣食住の領域で企画・開発を行なう。

経営者としての課題をこう分析する。「心を込めて作っても、その過程が伝わりづらい。色々な企業や人とつながることで、その課題を解決していきたい」。

柴咲コウは2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」で主役を務めるなど、日本を代表する女優の一人だが、音楽活動も精力的に行う。5月には、コンサートツアー「EARTH THE KO」を行い、「音楽を通してサステナブルを表現」することに挑戦。歌と芝居で京都、横浜、名古屋の3都市を巡った。

このツアーの序章として4月に世界文化遺産の広島厳島神社で、サステナブルをテーマにした音楽コンサートを開いた。このテーマに共感したのが、広島市に拠点を構える広島トヨペット。古谷英明社長は「一発」で協賛を承認した。

「広島に関わるすべての人に、車だけでなく、新たな価値を提供したいと思った。奉納公演では、いつもと違う厳島神社を見ることができ、新たな気付きを得られた」(古谷社長)

奉納公演について感想を話し合った、右から、古谷社長、柴咲コウ、レトロワグラース取締役の藪 考樹氏 写真:高橋慎一

柴咲コウ自身も気付きを得たという。「歌手活動を17年以上しているが、厳かな場所で奉納公演をするにあたって、楽曲づくりに関して新たな発見ができた。女優や歌手、起業家と点在していたが、一つになって3都市コンサートに挑めた」と話す。

太陽が沈もうとしている夕暮れ時、1400年の歴史をもつ厳島神社が幻想的にライトアップされ、本殿には、オートクチュールで作ったMES VACANCESの衣装を着飾った柴咲コウ。海側から見ている500人の観衆を魅了した。

今後の展望としては「継続」を重要視する。「環境や人に対する思いを、音楽や事業を通して発信していきたい。義務感だけでは人は続けていけないと思う。一回だけではなく、継続して行いたい」。

環境省から「環境特別広報大使」にも任命された。コラボレーションにもこだわる。「表現者は私だけでなくてもいいし、サポーターも増えてほしい。サステナブルでつながったこの輪を大きくしていきたい」。

レトロワグラース

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