福岡県内でドーナツを主体とした飲食店を4店舗経営する凄腕カンパニー
(福岡市)では、使用済み揚げ油をエネルギーとして有効活用している。
現在はキッチンから各店舗へドーナツを運ぶ車の燃料としてのみだが、
3年後にはお店で使う電気のほとんどを廃油発電で賄える様にしたいという。
上杉健治代表は1996年から居酒屋を営んでいたが、自身に子どもが生ま
れた事をきっかけに、安全で美味しいおやつを作り始めた。
ランチタイム限定でドーナツをメニューに入れたところ評判になり、
2007年からドーナツを主力とする「ケンジーズドーナツ博多」
をスタートさせた。
同社では福岡産の米油を使っている。
当初廃油はロウソクや石鹸作りに回していたが、手間が掛かるため、
ほとんどをお金を払って処分していた。
しかし、食用油はディーゼルエンジン車の燃料として使える事を知り、
移動販売の車を購入し廃油を使うようになった。
しかも、植物由来の油は大気中のCo2を増加させないカーボンニュー
トラルというエコな燃料だ。
植物は大気中の二酸化炭素の炭素原子を取りこんで、有機化合物を作り、
それを栄養として成長する。
その為、植物を燃やして二酸化炭素が発生しても、また植物の栄養源と
なり、大気中の二酸化炭素総量の増減に影響を与えない。
これを「カーボンニュートラル(炭素中立)」と呼ぶ。
同社のドーナツは体にも優しい作りだ。卵と生活習慣病を招くと言われて
いるトランス脂肪酸を含むショートニング・マーガリンを使っていない。
小麦粉の一部は福岡産を使用している。
無添加なドーナツの為、日持ちがしなくお取り寄せは不可。
福岡へ足を運ばないと味わえない。
化石燃料、原子力に変わる自然エネルギーの新顔として、廃油の有効活用を
注目したい。(オルタナS特派員=中川真弓)
■ケンジーズドーナツ博多 http://www.canezees-doughnut.com/