LGBT(性的少数派)向けの成人式が全国数ヶ所で開かれる。東京の学生団体「Re:Bit」(りびっと)が世田谷区成城ホールで1月15日に「LGBT成人式」を行う。「全国で開催したい」との呼びかけに岩手、石川、長野、愛知、島根、福岡のLGBT団体が応じ、7カ所での開催が決まった。

 左から藥師さん、関谷さん。自他ともに自分を祝うきっかけに


りびっと副代表・関谷隼人さん(21)は言う。

「僕は身体も戸籍上も女性ですが、男性の心を持っています。家族にもなかなか理解してもらえず、成人式が近づくと振袖を用意されました。『自分ではない』と感じ、出席できなかった。その後、自分なりの成人式をしたくて小さなイベントを開くと、僕がトランスジェンダーだと知っている出席者たちが男性物の袴姿の自分に『おめでとう』と言ってくれて、うれしかった。他の多くの仲間にも同じ気持ちを感じてほしい」

東京での来場予定は300人。性同一性障害を公表しているタレントの佐藤かよさんらのトークショーや、自分がしたい服装のレンタル、写真撮影などを行う。入場者に年齢制限はなく、LGBT以外の人も歓迎だ。

石川県金沢市で式の関連企画を行う「レインボー金沢」主宰の東小雪さん(26)は、当事者同士が繋がることの難しさを語る。

「金沢は人口も少なく、バス停にいれば知り合いに会うくらい世間が狭い。男尊女卑の風潮も残っていて、自分のセクシュアリティを告白すればまわりからいろいろ言われかねない。昨年行った交流会ではLGBTに会うのが初めてという人もいました」

りびっと代表の藥師実芳さん(22)は、自分のセクシュアリティに気づいた小学生の頃、「生きていけないんじゃないか。誰からも自分のこと好きになってもらえないんじゃないか」と自己を肯定できなかったという。「全国どこにだってそんな人はいる。ありのままの自分を祝い、好きになるきっかけにしてほしい」と呼びかける。

アメリカのLGBTを支援する教育者の団体「GLSEN」の調査では、若い同性愛者が自殺する割合は異性愛者の4倍に上ると発表されたこともある。当事者が自己肯定できる社会的認知が望まれる。(遠藤一)


http://www.geocities.jp/lgbtseijinshiki/ (LGBT成人式・東京)