精神障がい者の支援を行う東京・世田谷のハーモニー(就労継続支援B型事業所)が、患者たちの幻聴妄想の実態をかるたにし、販売を始めた。
解説冊子と、DVD「幻聴妄想かるたが生まれた場所」に加えて、女優の市原悦子さんによる「読み札音声」CDが付録になった豪華版だ。
実際に精神障がいを持つ当事者が、自分の幻聴妄想体験を「かるた」の読み札・絵札で表現し、解説冊子では自身の生育歴、治療やリハビリ施設への感想などを率直に綴った。DVDにも出演して読者へメッセージを発信している。
医療者には心理教育のツールとして退院支援のきっかけになり、教育者には精神看護学実習の教材になる。障がいをもつ当事者やその家族にとっては、幻聴妄想をどう話すか、どう聞くか、どう解決するかの参考になる。福祉作業所の運営者なら、ユニークで注目を浴びる商品開発の参考に役立つ。
担当編集者の石川誠子さんは言う。
「アマゾンなどのネットショップでも扱っています。障がい者の方が作ったということで笑っちゃいけないようにとらえる方もいますが、一般の方にも『へぇ、こういう世界があったのか』と面白がってもらいたい」(今一生)
●医学書院 「幻聴妄想かるた」
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=82112