NPO法人シュアール(神奈川県藤沢市)は、インターネットを使って岩手・福島・宮城の聴覚障がい者に手話通訳サービスを提供している。

Skypeを使い要望を職員に伝える


被災者や被災地ボランティア、避難者の障がい者がSkypeの動画機能でコールセンターの職員に手話で用件を伝えると、聴者に音声で伝えてくれる。共同募金からの助成金によって2012年3月末まで無償で提供される。

同NPOの大木洵人代表(24)は、ネット手話の利便性をこう説明する。

「例えば、宅急便が届いても、不在票が置かれてしまうと電話が使えないので困ります。弊社のサービスなら職員が障がい者の方の代わりに宅配業者に電話でき、即日受け取れます。手話通訳者がそばにいなくても、すぐに対応できるのが強みです」

シュアールは、大木代表が通学していた慶應義塾大学環境情報学部(SFC)の学内で2008年5月に立ち上げたボランティア団体が母体。「障がい者と聴者が対等な世の中を作れないか」と考え、09年11月に同名のNPOと株式会社を同時に法人化した。

SFCからの助成金でiPodからダウンロードできる手話の映像を制作すると、2010年のグッドデザイン賞を受賞。企業として遠隔手話サービスを法人向けに売り出そうとしていた矢先、東日本大震災が起こったため、急きょNPOとして個人向けに対処した。

今後は、聴覚障がい者が込み入った話を伝えにくい銀行やコンビニなど、手話が必要な公開イベント事業者向けに遠隔手話を提供していく。(今一生)


シュアール