和太鼓奏者の祝丸(のりまる)さんと神戸市立港島中学校の吹奏楽部の女子生徒5人の創作コンサートが、6月1日、神戸市中央区のジーベックホールで行われた。地域の住民など約150人が訪れた。当日は、「彩-SAI-天を打ち 大地に遊ぶ」をテーマに和太鼓と吹奏楽のコラボレーションのステージが繰り広げられた。

演奏している様子


業務用の音響機器を取り扱うTOA(神戸市中央区)は1998年よりプロの音楽家と中学生が5日間でコンサートを一緒に作るプログラムを提供している。

同社の強みである音を活かして地域の住民と関わり、企業として親しみをもってもらいたいと考えていたところ、教育委員会から中学生の職業体験受け入れの要請があったことが始めたきっかけだ。広報室の吉村真也さんは、「地域の核である学校と活動できるのはいい機会だと思いました。生徒のみなさんには、能動的に活動をしてもらえるよう、5日間でコンサートを作り、たくさんの地域の方々に楽しんでいただきたいと思いました。」と話す。

5日間で生徒達は見違えるほど成長する。初日に引っ込み思案であいさつの声も小さかった生徒がコンサート当日には、全身を躍動させて太鼓を打つ姿がある。その成長の裏には、生徒達に関わるスタッフが毎年プロの奏者としての気持ちで真剣にステージに上がるようにと伝えているからだ。精一杯演奏する生徒の姿を見て観客は感動する。

今年演奏する生徒の中には、「先輩のステージをみて自分もTOAで職業体験をしたい」と希望する生徒や14回も来場しているリピーターもおり、毎年コンサートを行うことで地域の認知度も高まっている。また、2年前からは近隣の総合ファッションアパレル企業ワールドで同じ中学に通い、同じ時期に職業体験する生徒がアーティストや演奏する生徒の着る衣装を制作している。

地域との関係について「企画を始める1998年以前は、TOAを知る生徒はほとんどいなかったが、現在では学校を訪問するとTOAの社員さんだと私に声をかけてくれる。また、先生方にも顔を覚えてもらえるようになりました」と吉村さんは話す。今後については、毎年新たな企画を考えるのは大変としながらも、企業として地域に貢献していきたいという。(オルタナS関西支局特派員=喜多元哉)