手話と音楽で健聴者と聴覚障がい者を同時に楽しませる「こころおと」というバンドがある。ろう者の親の下で育ってきた代表の武井FATMAN 誠さんが大学生時代にスタートした活動がきっかけで生まれた、結成12年目になるバンドだ。最近では、学生の間でコピーバンドも現れるなど人気を博している。
武井さんはCODAとして「ろう者の言語である手話と健聴者の文化である音楽をなんとかして結び付けられないか?」と考え、1999年に大学内で手話ライブを試み、翌2000年に同バンドを結成した(※CODAとはろう者の親を持つ聴者のこと)。
ろう者・CODA・聴者が混合したメンバーで構成され、全身を使った振り付けのような手話を交えながらパワフルに歌う「デフボーカル」によるライブでは、歌詞をスクリーンに映しながら演奏する。
ポップからバラード、そしてロックまで幅広い音楽性を備え、オリジナル楽曲によるアルバムも発表しており、ライブ映像の一部はYoutubeにアップされている。
ライブは東京を中心に名古屋や仙台、福島などでも続けられており、これまでにNHKなどのテレビにも出演し、SPEEDの今井絵理子さんらと共演したこともある。
武井さんは、同バンドの公式サイトにこう書いている。
「メンバーのデフボーカルにも元々は音楽が苦手な人もいたくらいです。ですが、手話音楽にはそれを超えるパワーがあるのでは。色んな楽器を演奏する際に放たれる演奏者のオーラ、演奏者の体の動き、指使い、音が発する際に伝わる空気の振動、そしてライブ会場で感じる言葉にできない熱気。こころおとのライブは手話や音楽の概念を越えたところにあります。手話に注目するもよし、音楽を聞くもよし、演奏プレイに見惚れるもよし。自由に体を動かして楽しんでください」
なお、同バンドは、12月15日に名古屋のCLUB 3 STAR 今池店で開催されるライブ「SignShock!2012」に出演する。ライブ情報は、同バンドのブログを参照されたい。(今一生)
●http://www.kdn.ne.jp/~kokoro/index.html