We Mean Business(ウィ・ミーン・ビジネス)を知っていますか?サステナブルなNGOのグローバル連合です。その名の由来は、「私たちは本気です。ビジネスでやっています」という意味。雑誌オルタナ53号(6月29日発売)の第一特集では、NGO主宰のこの動きを取材しました。特集記事の一部をご紹介します。
第一特集:世界企業/NGOのパワーバランス We Mean Businessとは?
世界では今、企業とNGO(非政府組織)が大同団結して「サステナブル(持続可能)な経済社会」を目指す新たな「うねり」が起きている。企業とNGOが対立していた20世紀型の関係から脱皮し、脱炭素や地球環境、人権などの問題において独自の基準を作り、影響力を広げる。その旗手が「ウィ・ミーン・ビジネス(We Mean Business)」同盟だ。
2018年6月、カナダ東部シャルルボワで開かれた「主要7カ国首脳会議(G7サミット)」で米トランプ大統領や安倍晋三首相ら各国首脳に、ある要望書が突き付けられた。
その中身は① パリ協定(2015年12月)の合意事項を迅速に実行すること②2050年までにグローバル経済を完全な「脱炭素」に移行させること③「誰ひとり置き去りにせず」、世界中の誰にも機会が与えられること――だ。
具体的には、国別削減目標などの気候変動対策の推進、カーボンプライシング(炭素への価格付け)、化石燃料への補助金撤廃などを迫った。
要望書の差出人は「ウィ・ミーン・ビジネス」(WMB)同盟。その名は「私たちは本気です。ビジネスでやっています」という意味だ。まだ日本ではあまり聞き慣れないが、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)やRE(再生可能エネルギー)100など7つのNGOが連携した「サステナブルなNGOのグローバル連合」だ
WMBは2014年、低炭素社会への転換を促す複数の活動団体の力を一体化しようという目的でロンドンに設立された。9人のボードメンバーのうち7人はNGO出身で、企業側からはイケアのスティーブ・ハワード最高持続性責任者、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)のピーター・バッカー代表が参加した。
イケアのほか、ユニリーバ、ケロッグ、GM(ゼネラルモーターズ)もWMBのコーポレート・アドバイザリー・グループに自社のサステナビリティ担当者を送り込み、NGOとの連携を進める。
WMBで最も存在感を発揮してきた企業経営者の一人がユニリーバのポール・ポールマンCEOだ。2010年に「サステナブル・リビング・プラン」を打ち出し、「売上高を2倍にし、環境負荷を半減させる」ことを社内外に宣言した。
同CEOは今や、米国や欧州で最も評価が高い経営者の一人とされる。「彼は『地球や人々が健全な状態でなければ、ユニリーバも含めてどの企業も生き残れない』と深いレベルで理解している」(米CSRコンサルタントのアンドリュー・ウィンストン氏)。
ポールマンCEOはWMBのサイトにビデオ出演し、「パリ協定以来、脱炭素に向けての連携が加速してきた。この動きは私たち民間企業に火を付けた。10兆㌦(1100兆円)以上の新たなビジネスチャンスがあるからだ」と解説し、トップランナー企業の意気込みをあらわにした。(この続きは、オルタナ53号に掲載)
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