限界集落と呼ばれている新潟県十日町市の池谷集落周辺を中心とした「越後妻有通い隊スタデイツアー」が8月31日から9月2日の3日間、新潟県十日町市を中心に開催された。参加者は地域活性化やまちづくりに取り組む人達を中心に12人が参加した。

池谷集落の棚田の風景


今回の趣旨は、地域活性への取り組みを必要とする地域と首都圏を繋げ、都会に住む若者に地域の魅力を伝え、生き方の多様性を広めることが狙いだ。

初日は、里山や自然などの地域資源・文化などをアートによって発信し、地域の元気を取り戻すというプロジェクトである「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を観て廻った。

「絵本と木の実の美術館」の中にあるHachi cafeの食事風景


会場は廃校になった小学校や、改築された古民家を利用している。それぞれの施設にある、地域独自のインパクトのある芸術作品が、十日町市周辺を一瞬にして心が躍る空間に変えていった。

2日目は、池谷集落の畑や田んぼを見学し、ナスの葉の選定作業をおこなった。実際に選定作業をしたのは3時間だったが、作業をした参加者は汗を流し、農業の楽しさと辛さを鑑み、農家の偉大さや食物のありがたみを噛み締めた。

夜は、池谷集落周辺の地元住民と交流会を開き、お酒を片手に地元住民と大いに賑わった。3日目の午前は、池谷集落のブナ林でインストラクターの指導のもと、地元住民と共にヨガをおこなった。

池谷集落の地元住民との大交流会


都会とは違う澄み切った空気の環境の中でのヨガは、日頃の疲れや気持ちを落ち着かせる贅沢な時間であった。午後は、十日町市の地域活性に取り組む行政と地元の住民団体と共に、使用されなくなった十日町市の施設を訪問し、本町分庁舎にて意見交換会をおこなった。

意見交換会では、スタデイツアーに参加した参加者の感想と今後、十日町市が発展していくための地域活性施策についてディスカッションし、参加者が自分たちで取り組んでいる活動事例を報告し、若者だけではなく地元の年配者を人的資源として取り入れるなどといったアイデアを地元の人達に提案した。

池谷集落や十日町市周辺は新潟中越地震により、活気がなく村をたたむまで追い込まれた時期があったが、国際協力NGO「JEN」をはじめ、復興支援を目的に都会からきたボランティアの支援などで発展した復興活動が可能な体制ができた。

しかし、農家の後継者育成、織物といった伝統文化の保全など解決できていない問題は山積みである。優先順位を考え、ひとつひとつ着実に問題解決することが重要だ。(オルタナS特派員=高橋一彰)