就職活動が本格化するなか、福祉関係の法人と事業所が集まる「福祉の就職フェア」が2月9、22の両日に大阪で開催される。福祉業界の基礎知識や事業所ごとの特色を理解してもらうことで、ミスマッチの少ない雇用を進めてもらうのが狙いだ。フェアを運営する大阪府社会福祉協議会(大阪市中央区)福祉人材支援室主任の青木淳さん(39)と主任キャリア支援専門員の花谷早苗さん(39)に福祉の実情やフェアの見どころについて聞いた。(聞き手・オルタナS関西支局特派員=穴吹美緒)
――福祉の仕事の種類は。
青木:一口に福祉といっても、高齢者福祉や障がい者福祉、児童福祉や生活保護、医療など分野はさまざまです。必要とされる職種も、介護職やホームヘルパーだけでなく、事務職や相談員、運転手、調理師と幅広い。職場によっては介護職や相談員は無資格や未経験でも始められますし、働きながら資格を取得することもできます。
――福祉業界の就職状況は。
青木:とにかく人材が不足しています。高齢社会が加速するにつれ、介護職やホームヘルパーはますます必要になってきます。1992年から夏と冬の年に2回、福祉の就職フェアを続けていますが、2000年をピークに来場者が減少するようになりました。
景気が回復したことで他の業種に人材が流れていることが一つの原因です。福祉の現場でも就職した後「思っていた仕事と違う」と辞めてしまう人もいます。初めて接する認知症の方や障がい児童にとまどい、精神的にも体力的にも疲弊してしまうのが大きな理由です。
――今回の就職フェアの内容は。
青木:こうした雇用のミスマッチを解消するために、約60の法人や事業所の職員から現場の話を聞き、参加者に働く姿をリアルに想像してもらいます。その場で、各法人や事業所の職場体験の申込みもできます。他業種が集まる合同説明会では、福祉関係の企業は約100社中数社程度です。大阪でここまで大規模な福祉の事業所が集まる機会はめったにありません。
花谷:福祉の業界のことをまったく知らない人でも気軽に足を運んでもらえるように、1日の仕事内容や福祉業界の基本が分かるセミナーを午前中に開催します。福祉の現場は、環境が整っているところもあればまだまだ不十分なところも少なくありません。合同説明会で各事業所を比較できるよう、休日制度や福利厚生、職員の育成制度といった選ぶべきポイントをレクチャーします。
――どんな人に来てほしいですか。
青木:学生はもちろん、社会人の方でも福祉の仕事に少しでも興味があれば気軽に参加してほしいです。前回の冬のフェアでは学生と一般人がほぼ同じ割合でした。中高年齢者や障がい者、母子家庭など働くことが困難な人のための相談ブースを設けており、その人に応じた事業所を紹介できます。
――最後にお二人が考える福祉の仕事の魅力とは。
青木:人とどっぷり関わり、笑顔を引き出せることです。ときには家族よりも多くの時間を過ごします。一人ひとり感じ方も困っていることも違う。手を握ってあげたり、テレビを見て一緒に笑ったりするのだって仕事です。その人が何を望んでいるのか、どうしたら笑顔になれるのかを考え続けなければなりませんが、そのぶん工夫のしがいがあると思います。
花谷:働き続けられることです。妊娠や出産などで一旦仕事を辞めると、復職できない場合が多いのが現状ですが、福祉の仕事はいろいろな場所で必要とされているので復帰のチャンスも多い。人と関わったら関わった分だけ、できることが増えていくのが福祉の仕事です。そういう意味ではずっとキャリアを積んでいける世界だと思います。
「福祉の就職フェア WINTER in OSAKA」
対象:2014年3月卒業予定者、2015年3月卒業予定者、既卒、一般求職者
日時・会場
平成26年2月9日(日)OMMビル2階(大阪マーチャンダイズ・マート)
大阪市中央区大手前1-7-31
※ 京阪電車「天満橋」駅東口、地下鉄谷町線「天満橋」駅北改札口からOMM地下2階に連絡
平成26年2月22日(土)難波御堂筋ホール8階にて受付
大阪市中央区難波4-2-1難波御堂筋ビルディング
※地下鉄御堂筋線「なんば」駅13号出口直結
◆就活応援セミナー10:00~12:00 (予約制) 定員:先着100名
※電話、FAX、福祉人材センター問合せフォームよりお申込みが可能です。
http://regular-shigoto.weban.jp/contents/pr/tu/osf/index.html
◆就職フェア 12:30~16:00 (予約不要・入退場自由)
《お問合せ》
社会福祉法人大阪府社会福祉協議会・大阪府福祉人材センター
〒542-0065 大阪市中央区中寺1-1-54 大阪社会福祉指導センター1階
TEL.06-6762-9020(平日9:00~17:00受付)
FAX.06-6764-1574(24時間受付)