うつ病にかかる前のうつ予備軍の人宛に、匿名でメールを送り間接的に通知できるサービス「うつっぽ」が5月15日にリリースした。

ITの力でうつで苦しむ人を救いたいと話す東藤さん


このサービスでは、うつ予備軍で悩んでいそうな友達や家族、恋人宛に、匿名性を生かしてうつ通知を行うことができる。通知が届いた相手には、うつ病診断アンケートが届く。相手がそのアンケートに答えると結果に基づいた対処法や医療機関の紹介を受けられる仕組みとなっている。

このようにして、うつ病にかかる前にしっかりと相手に伝えることで早い段階からの対処を目指す。

IT技術でうつ病予防を目指すU2plus(ユーツープラス、東京・港)とクラウドファンディング「CAMPFIRE」などを開発した家入一真氏を中心とした組織liverty(リバティ)の合同企画として開発された。

ユーツープラスの代表取締役東藤泰宏さん(30)はIT業界で働いていたが、2008年過労によりうつ病に苦しんだ。人と会話するのが怖くなり、コンビニにも行けず、電車では嘔吐するなど、空気を吸って吐くだけでも苦しく感じたという。

一時回復したが、すぐに再発してしまい会社を辞職し1年半のニート生活を送った。症状が落ち着いてきてから周りを見渡した時、東藤さんのご友人や親類なども同様にうつに悩んでいる様子を目の当たりにした。

それがきっかけで、うつ病をIT業界特有の問題だと思っていたが、日本全体に広がる巨大な問題だと認識した。専門的な医療知識はないのでカウンセリングはできないが、IT業界に身を置いてきた経験を生かしたアプローチ方法があるのではないかと考え、起業した。

東藤さんは「ソーシャルメディアが浸透した現代では、離れていても親しい人の様子がわかる。間接的に通知できるうつっぽはこの現代だからこそできる支援方法だと思う」と話す。

直接言いづらいことも匿名でなら言えることが特徴であるが、医療知識を持ち合わせている人には、直接話しかけてもらいたいと考えている。

「すべての人にこのサービスを使ってほしいとは考えてはいない。うつをケアする知識を持っている人は直接伝えてほしい。うつへの対処方法がわからない人はこのサービスを使ってうつだと気づいていない人やうつ予備軍の恐れがある人を救ってほしい」と語る。(オルタナS副編集長=池田真隆)


うつっぽ