最後の社会主義国家と呼ばれるキューバ。そこで活躍する音楽家たちを撮影したドキュメンタリー映画が日本とキューバの合作で制作されている。発起人は日本人カメラマンの高橋慎一氏(42)。今まで20回以上の渡航をし、キューバ音楽に関しての3冊の著作を出している。

キューバ音楽ホールでの制作風景 写真:高橋慎一


2001年にはキューバ専門のレコードレーベル「Kamita Label(カミタレーベル)」を創設する。4枚のオリジナルアルバムを制作し、2007年にはキューバ音楽界のグラミー賞「CUBADISCO2006」のベスト・ジャズ部門にノミネートされた実績を持つ。

「キューバで生きながら音楽をする彼らの情熱に魅せられて、写真と文章、そしてレコードで伝えてきました。そして、いよいよ、本の出版やCD制作では、フォローしきれなかったキューバ音楽の熱いスピリットを究極の表現手法である映画で記録したいと思うようになったのです」と意気込みを話す。

社会主義国家キューバでは、世界的に評価される音楽家でも困難な状況で音楽を続けているという。しかし、「音楽を演奏したいという気持ちは誰にも負けていない」と高橋氏は代弁する。

現在、高橋氏は日本とキューバを往復し撮影を行っている。全体の3分の1は撮り終えているが、今夏と今冬に現地に滞在しての取材撮影も予定している。

来年度中に完成し、キューバ・ハバナで行われる「国際ジャズフェスティバル」でのワールドプレミア(世界初公開)を目指す。その後は、世界各地のフェスティバルをまわり来年末から再来年初頭の、日本での公開・映像リリースを予定しているという。

高橋氏は、「この映画を完成させ世界で上映することで、キューバ音楽の素晴らしさを伝え、彼らの音楽活動を支援することが出来ればと考えている」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)


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