一貫したテーマを持ち、世界一周をした5人の若者による新組織「CIRCUS(サーカス)」の設立が、今月11日に開かれたローンチイベントにて正式発表された。

サーカスは、「世界との関わり方をリノベートする」を理念に掲げて発足。「日本の若者を世界に輩出」「日本の文化を世界に発信」「日本の企業を世界に展開」の3つを大きなテーマとし、若い世代の個の可能性を繋げ、世界に発信していくことを目的としている。

写真左から、青木優さん、金田隼人さん、濱田真里さん、大村貴康さん、成瀬勇輝さん


発足メンバーの平均年齢は23.5歳。「世界と関わるプラットフォームになりたい」という5人が集結した。「一人ひとりの若者が世界に出ていくことで、日本の文化が発信できる」と、サーカス代表の成瀬勇輝さんは言う。

テーマを持った5つの世界一周

5人いるサーカスのメンバーは、テーマを持って世界一周を経験した者たちだ。

世界中の起業家やノマドと言われる方々、また個人で時代を新しく作ろうとしている人たちにインタビューをしてきた成瀬さん。多くの人と会いながら、世界における日本の文化のありかたを見てまわったという青木優さん。

金田隼人さんと大村貴康さんは、海外の大学を巡り、学生たちに夢を聞いてまわった。5人の中で唯一女性の濱田真里さんは、海外で活躍する日本人女性を現地でインタビューをし、自身が運営するウェブサイト「なでしこボイス」で発信をしてきた。

5人に共通するのは、自身の体験で終わるのではなく、それぞれが運営するサイトを通じて、同世代の若者に発信し続けてきたことだ。「日本人のパスポート率は4分の1だと言われている」と、成瀬さんは言う。

世界に出たいという若者と、世界と関わりたくないという若者の二極化が進んでいる今、「世界に出たいという者の背中を押したい」と5人は考える。

日本の現状

大学4年の時にアメリカの大学に留学をした成瀬さんは、他のアジアの若者に比べると日本の若者が非常に少ないという現状に、危機感を抱いたという。「若者の海外離れ」と言われるように、実際に日本から海外へ留学する人の数は減少している。

大村さんは、少子高齢化が進む中で、40年後の労働人口について危機感を抱いている。今の20代が60代となる40年後には、今よりも若者が、つまり労働人口となる層が減少してしまう。それにより、「外国人の労働力が必須になってきている」と、大村さんは話す。

「日本人の海外に対する抵抗をなくし、日本の若者を世界に出していくという循環を作れば、日本も変わっていくのでは」という。さらに、「そういう取り組みに挑んでいき、私たちにしかできない方法で、国を支えていきたい」と、語った。

世界における日本

「海外に行くまでは、海外が変わっていると思っていた。だけど実際は日本が他の国とは大きく違っているのだなと感じた」と、金田さんは言う。

治安面、衛生面、サービス精神など、日本にいるとそれが当たり前となってしまうが、実は当たり前のことではなかった。それは、他国を見て初めて知ることができる。世界を知るということは、まさに「日本を知る」ということなのだ。

青木さんは、大学の教授に「日本の文化は世界で流行っているが、日本人はそこでビジネスができていない」と言われ、「チャンスだと思った」という。実際に海外へ行くと、日本食レストランは多く存在するものの、そこで働く人やお店のオーナーは中国人や韓国人ばかりだった。

日本食やアニメなどを通じて、日本に興味を持つ人は少なくない。世界中で日本語を学んでいる人たちの数を知っているだろうか。大村さんが以前調べたところ、その数は500万人以上だったという。日本語を学んでいる生徒の数は、大抵の私立大学では習うだろうフランス語よりも多いのだ。

日本のパスポートの強さも、誇るべきことの一つであろう。成瀬さんは、世界一周中に日本のパスポートを持っていると、ビザを持たずに殆どの国へ入国できたという。観光が目的の短い滞在であっても、他国へ入国する際、ビザが必要となる国は多く存在する。

「それができるのは、日本のブランド力」と話す成瀬さんは、「そのブランドを築いたのは僕たちの上の世代の方々。それが今の僕らに引き継がれた。だからこそ、日本という国をより良くしていきたい」と、語った。

第一回目の活動は大成功に終わった


今後の活動

それぞれの活動も注目されるなか、サーカスとしての活動では、年に複数回のイベントを行う予定だ。ウェブメディアと連携しながら、「世界に出ることとは」をテーマに発信する。留職や世界に出る旅を企画し、プロジェクトとして運営していきたいという。

「行きたいと思った場所へ行くことができ、会いたい人に会いに行ける時代。また、日本の裏側で起きている出来事も、地方の人事に影響する時代でもある。世界が繋がっている今、『世界に出よう』ということではなく、『世界にいる』という感覚を持つことが非常に大事」と、成瀬さんは語った。

サーカスは「日本の若者の個の可能性を世界にぶちまけよう」をテーマに活動していく。5人の活動を「ただ応援する」のではなく、同じ時代を生きる「仲間」として、私たちも何ができるかを考えたい。(オルタナS編集部員=大森清香)


CIRCUSのHPは近日公開予定

CIRCUSメンバー
成瀬 勇輝( Yuki Naruse )
Nomad Project 

大村 貴康( Takayasu Omura )
世界一“志友”の旅プロジェクト(更新作業中) 

濱田 真里( Mari Hamada )
なでしこvoice 

青木 優( Yu Aoki )
世界一周 × IT 

金田 隼人( Hayato Kaneda )
世界一“志友”の旅プロジェクト(更新作業中)