勝山氏は親の期待に応えるため、有名進学校に入学するも、不登校になり高校を中退する。高校中退後、大検を取得して大学受験に挑むも、3度も受験に失敗した。その後、ドーナッツ屋、郵便局でアルバイトを始めるも、長続きはせず、自宅にひきこもる「廃人生活」を送るようになる。

勝山氏は「障がい者自立支援法」を活用し、30歳に障がい年金を受け取り、31歳で障がい者手帳を取得して生活を送っている。障がい年金とは、身体や精神などにある程度の障がいを負った者に対して支給される年金であり、障がい者手帳は市内バス、市営地下鉄などの公共機関がタダで利用できるなど、働けない人には至れり尽くせりのアイテムだ。

本書では「勝山氏のひきこもり年表」「ひきこもりながら暮らす生活術」の他に、「ひきこもり親子のコミュニケーション術」などの「ひきこもりの初歩の初歩」を書いた『Ⅰ章〜基礎編〜』、ひきこもりのマナー、極意などの「ひきこもりの本質」が書かれた『Ⅱ章〜中級編〜』など、章を追うごとにひきこもりの世界に引き込まれる内容となっている。

勝山氏は「あとがき」でこう語る。
『ひきこもりは高望みできなくなった時に、初めて人生の「選択肢」が広がる。可能性を広げるとは「堕ちる」ことだ。それは落ちぶれた今だからこそわかることだ』

社会のレールに沿った「上がる」生き方だけでなく、社会の枠からはずれた「降りた」生き方もアリかもしれない。(オルタナS特派員=高橋一彰)


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