一般社団法人日本政策学校は20日、クラウドファンディング「ShootingStar(シューティングスター)」で市民参加型政治マンガの制作資金の募集を開始した。ネット上で集めた政策に対する市民の声をマンガで描き、参加型民主主義を実感してもらうことが狙い。複雑な政治の仕組みや課題点を分かりやすく描き、マンガの力で政治離れを防ぐ。(オルタナS副編集長=池田真隆)
市民参加型政治マンガとは、作家側がストーリーや登場人物を決めるのではなく、読者側もかかわれるものである。このマンガの舞台は若者の街東京渋谷。政治に縁のなかった若者が、新しい時代を切り開く政策を実現しながら政治家へと成長していくストーリーだ。
マンガ上のストーリーの核となる市民の声は、ネット上で政策について議論し合うサイト「ソーシャルシンクタンク」から集める。同サイトで討論されている内容を参考にストーリー化する。
作家は、「暴力の都」や「未解決事件」シリーズなどで知られ、社会問題に高い意識を持つ中祥人(なかまさと)氏。クラウドファンディング上では制作資金100万円を目指し、集まった資金は、中氏の報酬・経費となる。資金の募集期間は、12月20日まで。
同プロジェクトが達成された場合、2014 年1月から、ニコニコ静画で連載が開始され、8月にはディスカヴァー・トゥエンティワンでの単行本を出版し、シリーズ化することを目指す。
生活者の声を政治に反映させるという趣旨に賛同し、元長野県知事で作家の田中康夫氏や吉田雄人横須賀市長、本川祐治郎氷見市長も同プロジェクトに加わる。
シューティングスターとは、NPO 向けクラウドファンディングサイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」を運営するJGマーケティング(東京・千代田)が6月12日に立ち上げたクラウドファンディングプラットフォームである。
ジャスト・ギビング・ジャパンでは、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥京都大教授や、史上最高齢の80歳でエベレスト登頂を達成した三浦雄一郎氏が資金を募ったこともある。
日本では、東日本大震災をきっかけに多くのクラウドファンディングサイトが誕生している。今年3月には、国内クラウドファンディングの市場規模は3億円を突破した。通常の投資や寄付とは異なり、プロジェクトの成果物との交換で資金を提供する点がユニークと好評だ。
同プロジェクトでも、ユニークな成果物がある。13万円を寄付した場合は、作中に登場人物として登場できる権利や、10万円で1カ月間、中氏のアシスタントとしてマンガ制作の技術を学べる権利などがある。