伊藤忠商事が運営する社会貢献型ギャラリー「伊藤忠青山アートスクエア」がこのたび4周年を迎えた。これまでに50以上の展示会を開催し、15万人以上が来場した。若手アーティストの発信の場を創出し、社会とつなげてきた。開館4周年を記念して、米・ニューヨーク発祥のライブパフォーマンスイベント「ART BATTLES」の日本初上陸を後押しした。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

8人の若手アーティストがDJの音楽に合わせて作品を描いた。ART BATTLES TOKYOは伊藤忠青山アートスクエアの4周年記念イベントとして日本初開催=10月28日、東京・青山にある伊藤忠シーアイプラザ特設ステージで

8人の若手アーティストがDJの音楽に合わせて作品を描いた。ART BATTLES TOKYOは伊藤忠青山アートスクエアの4周年記念イベントとして日本初開催=10月28日、東京・青山にある伊藤忠シーアイプラザ特設ステージで

10月28日、東京の中心地・青山に、ニューヨーク発祥のアートパフォーマンスイベントが日本に初上陸した。同イベントは、「ART BATTLES TOKYO(アートバトルズ トーキョー)」。一般公募で選ばれた8人の若手アーティストがDJの音楽に合わせてライブペインティングを行い、そのパフォーマンスを競い合った。

各作品はモバオクで熊本支援になるオークションに出品される

各作品はモバオクで熊本支援になるオークションに出品される

「ART BATTLES」は若者とアートを結ぶ人気イベント。このたびの日本初開催にあたり、社会貢献型ギャラリーを運営して4周年を迎えた伊藤忠商事がバックアップした。

伊藤忠商事は2012年から社会貢献型ギャラリーを運営してきた。東京本社の横に位置する「伊藤忠青山アートスクエア」だ。同社は社会貢献活動の一つの柱として、アートでの啓発を行う。具体的には、同ギャラリーでのアート作品の展示を通して、「次世代育成」「地域貢献」「障害者自立支援」「芸術・文化の振興」などを行っている。

同ギャラリーは10月26日で、開館4周年。これまでに開いた展示会は50を超す。若手アーティストの活躍の場として、また、拠点を構える青山の地域発展に寄与する形で自治体や協会、組合など様々な団体と連携して運営してきた。

若手アーティストの活躍の場は限られており、作品を制作して食べていけるのは一握りだ。売り込むために個展を開いたとしても、施設利用料がかかる。そこで、同ギャラリーではスペースを提供し、挑戦し続ける若手アーティストと社会の橋渡し役になってきた。

仕事終わりのビジネスパーソンや地域住民、スポーツ観戦に来た家族連れなどがいつでも気軽に立ち寄れるように、社会課題を知るきっかけをつくることが目的なので入場料は無料にした。その結果、4年間で来場した人数は15万人以上に及ぶ。

今回、アートとファンを結び続けてきた同社が、同じくアートと若者をつなげてきた「ART BATTLES」の趣旨に共感した。

ART BATTLESとは、米国・ニューヨーク発祥のライブパファーマンスイベント。制限時間内にライブペインティングを行い、完成したアート作品だけでなく、パフォーマンスも含めて競い合う。2001年から行われ、いまではスペイン、フランスなど7カ国に広がっている。

同日は、国内外で活躍する8人の若手アーティストが登場。この8人は一般公募の中から、審査を経て選ばれた。

審査員には、ART BATTLES創設者のSEAN BONO氏(写真奥から2番目)やデザイナーのコシノジュンコ氏ら

審査員には、ART BATTLES創設者のSEAN BONO氏(写真奥から2番目)やデザイナーのコシノジュンコ氏ら

DJの音楽に合わせて、60分間でライブペインティングを行った。ART BATTLESでは、オーディエンスの盛り上がりも審査の対象に入る。そのため、キャンバスを下に置き、足の裏に絵の具をつけて作品を踏みながら描いたり、一度描いた作品の上から違う絵を描いたりと、60分間どのように時間を有効につかうかはアーティストの腕の見せ所でもある。見ている観客を飽きさせることのないパフォーマンスを発揮することが求められる。

踊りながら足で描き観客を盛り上げたTomo

踊りながら足で描き観客を盛り上げたTomo

日本初開催となった、「ART BATTLES TOKYO」で優勝したのは、エモーショナルな表現を得意とするsilsil(シルシル)。ピンクの背景に、笑顔の女の子を描いた。silsilは舞台に立つまで、何を描くのかは、「まったく考えていなかった」。イベントが始まるまでは、あえて「無」でいたという。

さらに、女の子を描こうと思って描いたのではないと振り返る。同日は小雨が降るなか、屋外で開かれた。「みんなが寒そうにしていた」という理由で、南の島を描くことに決めた。真っ白なキャンバスに海と太陽を描いた。

そして、南の島が放つ「あたたかい雰囲気」から、女の子を思いつく。だが、当初描いた女の子は笑ってはおらず、涙を流していた。会場の雰囲気を読みながら、ウインク姿を経て、最終的に笑顔の姿を描いたという。

ステージ最前線で女の子を笑顔にしたsilsilのパフォーマンス

ステージ最前線で女の子を笑顔にしたsilsilのパフォーマンス

silsilは、この作品のタイトルを「私とあなた」と名付けた。その心は、「今日来てくれたお客さんと通じ合っていることを作品に込めたから」。

優勝したsilsilには、伊藤忠青山アートスクエアでの個展開催権利が贈られた

優勝したsilsilには、伊藤忠青山アートスクエアでの個展開催権利が贈られた

優勝したsilsilには、副賞として、伊藤忠青山アートスクエアでの3日間の個展開催権が贈られた。大阪出身の彼女にとって、東京での個展は初めてで「夢が叶った」と喜びを語った。その後、雨の中を大阪に戻っていった。個展の開催時期は来年春を予定している。silsilの活躍に目が離せない。

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