俳優・伊勢谷友介が代表を務めるリバースプロジェクト(東京・港)はイトーキと組み、「21世紀のビジネスはどうあるべきか」という新命題に挑んでいる。これまで同社は、「人類が地球に生き残るために」を命題とし、社会的課題の解決につながる事業を展開してきた。少子高齢化や子どもの貧困など社会的課題が山積する日本社会で求められるビジネスの役割を探る。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

リバースプロジェクトの龜石・代表取締役=11月13日、東京北青山にあるリバースプロジェクト本社で

リバースプロジェクトの龜石・代表取締役=11月13日、東京北青山にあるリバースプロジェクト本社で

今年12月22日、「あるべき未来をつくる100人Meetup!」と題したイベントが、イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(東京・中央)で開かれる。このイベントの目的は、ビジネスパーソン100人で未来を描き、ビジネスの方向性を探ること。

リバースプロジェクトはこのイベントの企画にかかわっている1社だ。同社は今年6月、イトーキと組み、社会的課題を事業で解決する新基盤「CSW(コーポレート・ソーシャル・ウィル)」を立ち上げた。あるべき未来を企業が連携して実現するための人財育成プログラムや事業共創プラットフォームを展開する。イベントを通じて実現可能なアイデアが生まれれば、事業化することも考慮に入れているという。

このイベントには、三菱総合研究所(MRI)も共催で参加する。MRIでは、革新技術を活用し、オープンイノベーションによって社会課題をビジネスで解決するプラットフォーム「未来共創イノベーションネットワーク」を立ち上げる(2017年1月予定)。企業、大学、行政などさまざまなセクターを巻き込み、社会的課題を解決する事業を生み出していくものである。

両事業の方向性が合致し、「あるべき未来をつくる100人Meetup!」が実現した。参加者が考えた、「あるべき未来像」をまとめ、世の中のトレンドを研究していく。

リバースプロジェクトの龜石太夏匡(たかまさ)・代表取締役は、「何が起きるのかまったく分からない。われわれの課題だけが浮き彫りになるかもしれない」と危惧しながらも、「どういった科学反応が起きるのか楽しみ」と期待する。

未来を考えるうえで、社会的課題を考えることは避けては通れないと話す

未来を考えるうえで、社会的課題を考えることは避けては通れないと話す

龜石氏は伊勢谷友介氏とともに、リバースプロジェクトを立ち上げた人物。2008年の創業以来、2人3脚で経営を続けてきた。龜石氏は今の時代に、社会的課題に関心を持つことが「チャンス」と言い切る。「価格、質、デザインだけでなく、社会性を持った商品にこそほかとの差異が生まれるから」とその根拠を説明する。

龜石氏は「エシカル(倫理的・道徳的)」というキーワードを例にあげ、「数値的に説明できない言葉がビジネスシーンで使われ出す時代になった。だからこそ、概念を可視化していくことが大切になっていく」。

概念を可視化するため、思考する力を鍛える事業も行う。それが、大学生向けの「松下村塾」だ。毎回全国から大学生50人ほどを対象とし、数日間かけて、物事の考え方を学ぶ。今年11月末で4回目になる。CSW事業で企業への人財育成プログラムを行うが、この松下村塾がもとになっている。

龜石氏はリバースプロジェクトを立ち上げる前は、映画制作を目指す青年だった。もともとは、兄弟でアパレル事業を立ち上げ、若くして成功を収めたが、心機一転、映画の道へ。高級マンションでの暮らしを手放し、ラブホテルの清掃をしながら、脚本を書くという日々を送った。

伊勢谷氏との出会いは、彼の脚本に伊勢谷氏がほれ込んだことがきっかけ。2人は映画の話をするようになり、そのたびに、「社会問題にも話が及ぶようになり、人類が生き残るために何ができるのか考えるようになっていった」と言う。2人でリバースプロジェクトを立ち上げたのは、この時期だ。

社会的課題を解決する事業をやりきったときには、金銭的な報酬以上のものを得られるという

社会的課題を解決する事業をやりきったときには、金銭的な報酬以上のものを得られるという

創業8年目を迎え、社会的課題の解決を目指したビジネスプラットフォームなどを企画し、年々影響力を増している。エシカルな価値観を持つようになって、「多くの人と出会うようになった」と話す。それも、深いつながりができたという。

ビジネスの付き合いだけで終わらないのは、「(社会問題を)自分の言葉で語り合えるから」。龜石氏は、「いつかはリバースが必要ない社会になったらいいな」と前を向く。

【あるべき未来をつくる100人Meetup!】
日時:2016年12月22日(木)13:30〜20:30(13:00 受付開始)
会場:イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA1F
定員:100名(申込多数の場合は抽選とさせていただきます)
参加費:第1部・第2部は無料 第3部: 3,500円
お申し込みはこちら

第1部:13:30〜15:00
トークセッション「なぜ今あるべき未来像が必要なのか?」
株式会社イトーキ CSW事業部 プロデューサー 戸田裕昭
株式会社リバースプロジェクト 代表・CSW事業部統括プロデューサー伊勢谷友介
株式会社リバースプロジェクト 共同代表 龜石太夏匡
株式会社三菱総合研究所 オープンイノベーションセンター長 小野由理
あるべき未来像をビジネスで実現するために
CSWプラットフォームと未来共創イノベーションネットワーク について

第2部:15:00〜18:00
ワークショップ「 100人でつくる100通りのあるべき未来像 」

第3部:18:30〜20:30
交流会
リバースプロジェクトによるケータリングをご用意します

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