バレンタインデイにフェアトレードチョコレートを購入し、児童労働問題解決に動く女の子たちの様を描いたドキュメンタリー「バレンタイン一揆」。その上映会ゲストに訪れた実業家でファッションモデルの藤田志穂さん。同映画で奮闘する女の子たちの姿と、ギャル革命を掲げて19歳で起業した自分が重なると話す。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)
■伝えたいことが伝わらないジレンマ
——「バレンタイ一揆」の感想や共感した箇所を教えてください。
藤田:映画を通して、児童労働のことをわかりやすく知れたとともに、普段、何気なく購入しているチョコレートの裏側も知れて衝撃を受けました。
共感した部分は、若い女の子たちが、問題を知って日本で行動に移すところですね。児童労働の現状を伝えたいのに、上手く伝えられなかったりしたところは自分の活動と被るものがありました。
私も、若者に食に関する意識を持ってもらう「ノギャルプロジェクト」を企画して、「シブヤ米」と名付けた秋田産のお米を渋谷で配りました。なぜ、秋田産かというと、若者の街である渋谷のシンボルの「忠犬ハチ公」は秋田犬なので、それを切り口に若者の食に対する意識を喚起しようと思ったからです。
でも、シブヤ米を受け取る人は、単純にお米が欲しいだけで、私たちが伝えたい食に関する情報を伝えることは上手くいきませんでした。
——映画では、日本でフェアトレードチョコレートの購入促進イベント「バレンタイン一揆」を起こします。しかし、伝えたいことが多すぎて、言葉として上手くまとまらないジレンマに陥ります。藤田さんも同じ悩みを抱えていたとおっしゃいましたが、どのように乗り越えましたか。
藤田:私が19歳で会社を起こした時、ギャルの意識を変える「ギャル革命」を掲げました。容姿だけで判断されず、若者が自信を持って夢を実現できる社会にしたいと思ったのです。
しかし、「ギャル革命」をしたいと伝えても、「何それ?」、「そんなのじゃ伝わらない」ときっぱりと言われたこともありました。ある人には響く言葉でも、違う人にはまったく響かないのだとわかりましたね。
そこで、伝える人によって言い方を変えながら話すことにしています。映画に出てきた女の子たちも、色々な人と話して、たくさん経験を積んでほしいですね。
——藤田さんは、「ノギャルプロジェクト」で若者に食に興味を持ってもらう活動をしていますが、なぜ若者たちに食に興味を持ってほしいと思ったのでしょうか。
藤田:私の祖父は新潟でコシヒカリを作る農家でした。中学1年時に亡くなってしまいましたが、田んぼと畑だけが放置されていました。
19歳で会社を起業して、エコ活動にも興味を持った時、食にまつわる話も聞いていました。でも、そのとき、食料自給率が40%を切っていると知ってもなかなか身近に感じられませんでした。
ただ、耕作放棄地が増えていることを聞いた時、自分の身近にある問題と同じだと思いました。原因は農家の高年齢化ということなので、若者が農作業の体力的な助けになるのではないかと思い、農業ツアーを企画しました。
【若者と大人の架け橋に】後編に続く
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