「あるツアーがきっかけで、一人でも多くの途上国の子どもたちが学校に行けるようになるにはどうしたらいいのか、と考えるようになりました」――。こう語るのは、一般社団法人STUDY FOR TWO代表理事の石橋孝太郎さん。同団体では、「あるアイデア」を通じて、バングラデシュなど最貧国の子どもへ累計1600万円の奨学金を提供しています。どのような仕組みなのか、詳しい話を聞きました。(JAMMIN=高橋 佳吾)

■大学生の「教科書を安く買いたい」というニーズに着目

みなさんは大学生の頃、どのようにして教科書を手にいれていましたか? 大学の本屋での購買、先輩から譲ってもらったなど、様々だと思います。

ある調査によると、2014年には「奨学金を受けて大学に通う大学生の比率が51.3%」というデータがあるなど、経済的に余裕がない大学生が多いのが今の日本の一面でもあります。

こうした大学生たちの「教科書を安く買いたい」というニーズに応えるべく、同団体では、不要になった教科書を無償で譲り受け、その教科書を定価の半額で再販しています。

青空の下、大学内で教科書販売を行う広島大学支部のメンバー

「自分の家庭も決して裕福ではなかったのですが、ある先輩から教科書を安く譲ってもらった時に、他の人も参加したいはずと思ったのがきっかけです」と語るのは、同団体代表理事の石橋孝太郎さん(28歳)。

教科書販売を始めたのは「ある理由」によってお金が欲しかったから。その背景は、彼が大学1年生の頃に参加したボランティアツアーに遡ります。

■「明確な夢も、学びたいという気持ちもなかった」という大学生活

2010年当時、石橋さんは都内の大学に通う普通の大学生でした。ある日、塾のバイト先にたまたま張り出されていたチラシを見かけ、ラオスへのボランティアツアーへ参加します。

「当時は、僕自身夢もなかったですし、これを学びたい、というものもなかった。でも現地で会った子どもは例えば、警官になりたいと具体的な夢を語った。日本にいる自分はこんなにも恵まれているのに恥ずかしかった」と石橋さんは語ります。

ラオスでは教育機会の不均衡があり、まだまだ全員がその夢を叶えるために、高度な教育がまだ、多くの子どもへ十分に行き渡っていないのが現状でした。

「このツアーが、途上国の子どもたちの夢を叶えていくためにも、自分に何ができるのかを考えるきっかけになった」とも教えてくれました。

写真左:ボランティアツアーに参加した頃の石橋孝太郎さん

■過去の教育支援学は1,600万円。日本の大学生の意識にも変化

同団体は回収した教科書を定価の半額で販売。その後必要な事務手数料の20%を差し引いたすべての金額を、途上国の「子どもが学ぶための費用」として提供し続けています。

その累計額は1600万円。さらに、現在までに3,000名を超える大学生が、販売・回収のスタッフとして関わってきました。

「年に一度、スタディツアーとしてスタッフの大学生が現地へ行きます。前の学生代表は、『バングラデシュに行ったことで、改めて支援をする責任を感じることができました。彼らの人生に関わる責任を感じながら、これからも学習機会を提供することで彼らの見る世界を変えていきたいと強く思いました』と話をしてくれました」

この仕組みは単に途上国の子どもの未来だけではなく、社会貢献をしたいと考える、日本の大学生3,000人の意識も変え続けているのです。

2016年に大学生活を賭けて建設した中学校に訪問し、温かく迎え入れられるメンバー

■チャリティーは最貧国の一つ、バングラデシュの女の子が中等教育を受ける費用として活用

今週、チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」では、STUDY FOR TWOと1週間限定で、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。集まったチャリティーは、同団体を通じて、バングラデシュの女の子のための奨学金・1人あたり3万円の費用として活用されます。

「JAMMIN×STUDY FOR TWO」1週間限定のチャリティーデザイン(ベーシックTシャツのカラーは全8色。他にスウェットやパーカーなどあり

販売するアイテムには、I AM A PART OF EVERYTHING THAT IHAVE READ「私は、自分が今まで読んだ全てのものの一部である」、というアメリカの第26代大統領 セオドア・ルーズベルトが語ったとされるこの言葉をデザイン。読書が人生を豊かにしてくれる、というメッセージを込めています。

また、「YOUR LIFE」という名の本には、たくさんの「しおり」(思い出)が増え、色々な人の人生が豊かになってほしいとの願いを込めています。

チャリティーアイテムの販売期間は、12月18日(月)から12月24日(日)までの1週間限定。JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、STUDY FOR TWOの成長の歴史や、大学生の思いなど、より詳しいインタビューを掲載中。子どもを持つ親御さん必見です!あわせてチェックしてみてくださいね。

大学生が社会を変える! 「中古教科書」と「途上国の教育支援」をつなぐ一般社団法人STUDY FOR TWO

高橋佳吾(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」共同創業者。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。

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