エイプリルフールの4月1日、日本全国からニートを集め、全員を取締役に就任させ、会社を創業させるプロジェクトがリリースした。同プロジェクトのプロデューサーである若新雄純氏は、「既成概念や常識に縛られずに、新しい事業主集団をつくりたい」と話す。なお、この話は嘘ではなく、実話である。
同プロジェクトで創業する会社の正式名称や、展開する事業内容はまだ何も決まっていない。ウェブサイト上では、仮称として「NEET株式会社」と記載されている。4月20日頃まで、ニートのエントリーを募集し、5月下旬に都内で説明会を開催する予定だという。
集まったニートたちと事業を考案するのは6月からになると、若新氏は話す。募集しているニートの定義は、34歳以下で、会社や社会的組織に所属していなく、学校や職業訓練所にも通っていない者としている。
「集まってきたメンバーの中から社長を決めてもらう。私たちは箱だけを用意して、自由に活動してもらう」と、若新氏。会議場所はプレジデント社(東京・千代田)が提供し、創業に必要な経費として同プロジェクトで数十万円ほどを用意している。会社の設立時や運営面でのサポートとして、中小企業経営者のネットワーク「中小企業共和国」がつく。
プロジェクトを考案したきっかけには、若新氏の原体験もある。若新氏は学生時代に先輩と障がい者支援事業を行う会社を創業した。現在、創業した会社は、業界最大手企業の一社となっている。
組織が拡大していくにつれて、転職してきた者などから「茶髪に染めた髪を染め直せ」などと見かけを指摘され出した。組織に窮屈さを感じ、創業者ながら会社から追い出される形で、解雇されてしまった。
「進路を断たれ、どこにもしがみつくものがない人の方が、本質的な働き方を知っている」と若新氏は話す。「毎日朝9時に出社して、夜遅くに帰宅する働き方に限界を感じている人は少なくないはず。従来の働き方を変革したい」。
若新氏は、経験がない人だからこそ、新しい視点を持っていると断言する。「私たちは、経験者の言葉を信じきってしまい思い込まされてしまうことがある。実際は、やってみなくてはわからない。ニートと呼ばれている人たちの中に、新しい視点や価値観を持った人は必ずいる」。(オルタナS副編集長=池田真隆)
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