「就活で心を病むとかは、弱い人間だからじゃないの?」――そう思っておられる方も少なくないのかもしれません。4年前、私は就活ウツになりました。自分が就活でウツになるなんて、思ってもいませんでした。ちょうど、「ツレがウツになりまして」が流行っていた頃でもあったので、映画の世界の話だと思っていました。(オルタナS関西支局=田中ナル・株式会社ナオミ マーケティング・広報室)
*この記事は後編となります。前編はこちらです。
その時、私の救いの場所だったのが、学び舎傍楽だったんです。
そこには、主人の駒井さんがいて。ウツの私ではなく、「私」として接してくれました。
後から聞いた話ですが、
この時、私はとても顔が暗くて、全然笑わなかったそうです。
顔色も青白くて、ボーっとしていて…。自分では、これは全くわからなかったのですが。
そんな私を見て、人は腫れ物にさわるような扱いをするのです。
「今日は寝れた?」「ちゃんと食べられてる?」など。
その方たちも、悪気があったのではないと思います。ウツの私とどう接していいのか分からなかったんだと思います。
でも、私もなりたくなったわけじゃない。
病人扱いしないでほしい。
そう思っていました。
そんな中で、駒井さんは、気を使わず、日常の話をしてくれました。
ウツの私ではなく、「田中ナル」として私を見てくれる唯一の人でした。
数ヵ月たったある日、身体の調子が少し良くなったので、傍楽に遊びに行くと、いつもと変わらず、駒井さんがいてくれました。
「就活もバイトもしてないんだったら、リハビリがてら、㈱ナオミにインターンにこない?」
この一言が、私がナオミに出会ったきっかけです。
全然仕事も出来ず、ウツなので、集中力も記憶力も無い。
こんな私でも、「一緒に働かない?」と声をかけてくれた駒井さんと番頭の川田さん。
「やりたいこともない。こんな自分のことも大嫌い。
でも、この2人には付いていきたい。この人たちのためなら、絶対に頑張れる。」
そう思って、インターンを始めて半年ほど経ったある日。
「わたしを、新卒としてナオミで雇っていただけませんか?」と強く希望しました。
「2、3日考えさせてほしい」と言われるかと思いきや、
その場であっさり「いいよ」と。
嬉しさよりも、この時は「えっ?え?」という驚きの方が大きかったのを今でも覚えています。また、私は続けてお願いしました。
「私には、営業マンのように走り回ってモノを売る力はありません。
技術者のように精密な機械を創れる力もありません。
営業事務や経理の方のように、きっちり伝票を入力することもできません。
ただ、私は勉強するのがものすごく好きです。新しい情報やアイディアを取ってくることもできます。この会社は、Webを使ったマーケティングがまだ確立されていません。この部分を任せていただけませんか?」
新卒で入社すると同時に、今までナオミに無かった「マーケティング・広報室」という部署を立ち上げました。
入社してからの話は、また次の機会にお伝えしますが、ウツに悩む人に、ぜひ伝えたいことがあります。
「働くこと=しんどいこと」
そう思ってはいませんか?
私は、働くことが楽しいです。
もちろん、しんどいことも悩むこともあるけど、楽しいんです。
大学生の間に、まず、働くことを楽しんでいる大人と出会ってほしいと思います。
なぜ楽しく働いているのか?人生をどう楽しんでいるのか?
何か理由があるはずです。
そして、これは経験から思うことですが、
人は、ほんとに簡単にウツになります。
だから、しんどかったらSOSを出してほしいんです。
就活で悩んで、ウツになって、自ら命を絶ってしまうことなんて悲しすぎます。
私にとって、就活は、初めて自分と向き合った時間でした。
「どんな人間なのか?」「自分はどうしたいか?」「どう生きていきたいのか?」
面接の練習やエントリーシートの書き方も、大事かもしれませんが、
私はそれ以上に、就活の時間を、自分と向き合う時間にしてほしいと思います。
それは、1人ではできません。
だからこそ、人と出会い、関わってほしいです。
学び舎傍楽に来てもらってもいいです。自分で見つけたイベントやコミュニティでもいいです。
色んな人に出会い、自分のことをアウトプットしていくと、
「あなたってこういう人だよね」「こういうことが、向いているんじゃない?」と
仲間から教えてもらうことがたくさんあります。
だから、まずいろんな大人に出会うこと。
そして、自分を知ること。
これを就活が始まる前から、してほしいと思います。
あと1つ。
もし、面接を受けて、お祈りメールや不採用の連絡が来ても、
それは、あなたのせいではありません。あなたの人格を否定されるわけでもありません。
ただただ、その会社とは合わなかった。それだけのことです。