――今の若者は失敗をしないように最低限のお金を稼いで食べていけたらいいという考え方が強いと思います。なぜ「失敗しろ」とおっしゃるのでしょうか。

多分、今の若者の親御さんや学校の先生は高度成長期の中で育った方ですよね。集団の中にいれば勝ち組になれる、という時代錯誤の発想を持っているわけです。集団から落ちない努力をしろ、そうすれば一生安泰に暮らせると言われてきました。日本という国が第一集団でしたから。しかし、今は違います。僕は若い人たちに「おまえらが生きている間にそのへんに生き倒れになっているという時代がくるぞ」と言うようになりました。

――その理由は何でしょうか。
中国人を雇った方がよっぽど安くて、彼らは真面目に仕事をするからです。日本人は高度な教育を受けてきましたが何もできませんよね。お茶の入れ方やあいさつの仕方から教えている状態です。なんでこんな人間たちに高い給料を払わなくちゃいけないのでしょう。

若い日本人は、自由に外国人が働きに来られないという不平等な枠によって守られているだけです。人件費が高く、休みを求め、ちょっときついことをしたら訴えるという、経営側の視点から見たら最悪の人種です(笑)。

しかし一方で、生きた仕事のための勉強をしている学生さんたちもたくさんいます。学生時代から名刺をもって社会人になる努力をし始めている子達にいっぱい出会いますよ。残念ながらああいう子たちはうちの会社には来てくれません、大企業に勤めます。それがやはり、彼らの能力を生かせますから。

今の日本で、果たして僕みたいに日給4000円でボコボコ殴られて1日も休みももらえずに働く子たちはいるのでしょうか。

日本という国が第一集団ではなく、第二集団、第三集団に落ちつつあることが見えてきました。経済成長している時に集団にいる人たちがいい思いをしたので、息子さんにも同じことをしろと言っているわけですが、過去は過去、先を読まないと生きていけません。僕は野良犬のように生きてきたから、先を読まないと生きていけないのです。それによって勝ってきたのです。これは、農業にもつながります。失敗を恐れていたら勝てませんよ。

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