窓を通してCSRを実践する会社がある。東京豊島区にあるマテックス株式会社である。

今回お話しを伺ったのは“その窓に未来を描く”を企業スローガンとして、防犯対策、エコ配慮などの様々な機能を備える「窓ガラス」「サッシ」を主体に、快適な住まい作りに欠かすことのできない多様な商材を扱い、卸売り事業を展開中の創業80年以上を誇るマテックス株式会社代表取締役松本浩志さん。

マテックス株式会社代表取締役 松本浩志さん















松本さんにとっての働くとは何なのか?3.11以降の企業競争はどうなっていくのかについて聞きました。


Q,松本社長にとって働くとは何ですか?

松本:働くとは経済的に豊かになることでもありますが、それと同時に物質的な豊かさではない部分をどれだけ追求していけるかだと思っています。そのためにも自分たちのやっていることがどのようにして社会のためになっているのかを感じることが重要になってくると思います。

 

マテックスでは自分たちがしていることが社会のためになっていると感じるために、「経営理念浸透カフェ」という取り組みを始めている。社員を集めて経営理念を伝えて、どのように社会から必要とされて、期待されているのかを感じてもらうためである。

経済競争の中にいてはいつのまにか理念を見失ってしまいがちである。だからこそ、額縁の中に理念を閉じ込めておくのではなく、社員全員の胸の中に落とし込むようにして物質的ではない豊かさを、働くことによって得られるようにしていくことが狙いである。

窓を買う機会というのは生きているうちに数回しかない。それだけ貴重な場面に関われているということを実感できたときからこの仕事のやりがいは何倍にも感じることができるのである

 

Q,働くことで大切にしていることは何ですか?


松本:社員ひとり一人にこの仕事の大切さを気づいてもらうようにはたらきかけています。私たちが社会からどのように評価されているのかを伝えて、社員が窓にかける思いを養なえるように促します。そして、やるからには楽しんでほしいので、楽しさを感じながら仕事の意義を実感できる社員を育成していくことを心がけています。


現在、就職して3年以内に離職する若者は3割以上。原因は報酬の低さ、成長できる仕事がしたい、好きな仕事をしたい、などである。かつて、企業は社員に技術を教え込めば企業の存続が保たれていた。

しかし、今は技術を教えるだけではその技術を得た時点で違う会社へと移ってしまう。だからこそ、技術だけでなく理念ややりがいを伝える必要がある。そうでないとただ報酬のために仕事をするようになってしまい、少しでも給料の高い職探しに奔走してしまう。仕事の意義に気づいた人から、伝えていく。こうして、企業の存続のために新しいリーダーを育成していくのである
















Q,3.11が起きて何を感じましたか?

松本:企業の経済競争のあり方に疑問を感じました。今まではこの競争の中で優位にたつことが良いことのように捉えられていましたが、本当にそうなのかを考え直しました。このまま競争を繰り返していって本当に充実した一生を送れるのかを見つめ直しました。


企業の開発した商品をマスコミが「良い」と言えば、消費者はそれを買い。「さらに良い」と別の商品をマスコミが言えばそっちを買う。資本力がある企業によって消費者が翻弄されていた時代を見つめ直す良い機会であることに間違いはない

Q.これからの企業の経済競争はどのようになっていくと考えますか?

へ続く