3年前、日本で初めてエコドライブを教習課程に組み込んだ埼玉県の自動車教習所「ファインモータースクール」は、広葉樹の育林活動を進めるNPO法人の「ドングリの会」の協力の元に間伐体験などを通して里山や人工林の現状と役割についてファミリーで楽しみながら気付いてもらおうと「親子で体験、ファインの森作りプロジェクト」を立ち上げた。
この立ち上げに関係していた私は、栃木県さくら市の里山で行われた第一回目のイベントに同行した。
特にこの1年、同社では教習料金の一部をドングリの会に寄付し、エコドライブ教習によるCO2の排出抑制と森による吸収促進の連動や環境問題と地域貢献など、CSR活動への一層の取り組みを考えた結果、近隣の住民の親子に向けて上記のような森の体験ツアーを社員が自ら先頭に立ち、その楽しさや課題を楽しみながら気付く企画にトライしよう、ということになった。
体験プログラムや現地コーディネートをドングリの会に依頼し、彼らの活動拠点の一つの、かって里山として利用されていた広葉樹林と杉を植えた人工林が50年も間伐もされず放置されている場所を選んでもらった。
森林や林業が抱える背景に気付くには、ドングリの会が進める広葉樹林として再生する「育林」作業(間伐や下草刈りなど)を先ずは体験し、関心を持ってもらうのが一番、との考えからだ。
もちろんその体験自体は楽しく、わくわくするもので、しかもサプライズがないといけないと、子供たちにもかなり大きな木を間伐してもらった。
その倒木の瞬間の迫力と50年を経た木の命を奪うことの神聖さを親子で感じてもらえたのではないか?単なる林での作業が楽しみとある種の気付きに繋がったかもしれない瞬間だった。
間伐の前にはノコギリを使った事の無い子供やお母様方のための練習をし、笹の下草刈り、林間散歩、その合間にドングリの会お手製スープの付いた昼食や焼き芋のおやつなど盛りだくさん。参加者たちも楽しんでもらえたようだ。
帰る際に記入してもらったアンケートには、今まで未体験だったがゆえにピンとこなかった温暖化やCO2吸収には森の元気を取り戻すことが重要なことに気が付いたとの感想が多かった。
やはり、この気付きの機会を本当に多くの人に提供することが、まだまだ大切なんだと私達にも改めて「気付かされ」た一日だった。