被災地で心に深い傷を負いながら暮らす人々のために、少しでも快適な生活を提供する東北支援「みんなの家」プロジェクトなどを指揮した世界的に有名な建築家伊東豊雄氏。
このプロジェクトは、伊東氏が設計を担当して、熊本県および県内建築関係団体などが主体となり、木材などを提供して実現したプロジェクトである。宮城県仙台市の仮説住宅エリアの一角に共同スペースとなる、「みんなの家」を2011年10月末に建設した。
伊東氏はこのプロジェクトに関わるにあたって、以下のことを述べている。「避難所での暮らしはプライバシーもなく、非人間的な生活です。しかし、そのような状況においても多くの人がコミュニケーションを取ろうと務めています。その姿に感動して、建築家としてその場に何か出来ないかと思いこのプロジェクトを開始した」(*『「みんなの家」を描こう』から一部抜粋)
「みんなの家」は実際の被災者の声を聞き設計された。これまでの伊東氏が手がけてきた「せんだいメディアテーク」や横浜駅地下にある「風の塔」など透明感のある建築物とは違い、つつましい木造切り妻を採用して、土間には薪ストーブも設置した。あたたかみがあり、昔ながらの住居である。
大きさは38ヘーベーであり、4畳半の部屋や長椅子が設置された縁側などがある。くまもとアートポリス・UD班担当の今福祐一さんは「現在も日常的にお茶飲み場としてや談話のために使用されており、今後も各自治体でこのような取り組みが行われれば良い」と語る。(オルタナS特派員 池田真隆)