京都を中心に配布されているフリーマガジン『SCRAP』

飛び込み営業が下手だった

—–加藤さんは、どういったことでテンションが上がるんですか?
一番テンション上がるのは、自分の思いついたことを人に喋るとき。そういうときは、どんなにスタッフが忙しそうでも、手を止めさせて喋りますね。
—–それを聞くと、プレゼンが好きというようにも聞こえます。
プレゼンが好きというよりも、聞いて欲しい。でもね、企業へのちゃんとしたプレゼンて経験したことないんですよ。
広告代理店が持っていっちゃうから。ウチの名前でプレゼンさせてくれって言って、持ってっちゃうから。会議室みたいなところでプロジェクターを使って、というような本格的なプレゼンはしたことないですね。
—–過去にリクルートのホットペッパー京都での立上げに携わられていたことの営業でもプレゼンの機会は無かったんですか?
無かったですね。お客さんのところに飛び込んで、枠を買ってくださいといって、嫌だと言われたら、じゃあ帰りますというような(笑)。僕は飛び込み営業が下手でしたよ、熱意が全然無かったから。リクルートの周りの営業は凄かったですよ、鋼鉄の心を持っていて。あのころから、向こうからコッチに来てくれたら良いのにな、と思っていましたよ。
—–営業が得意か苦手かで言ったら、苦手?
苦手だと思いますよ。でも、本当に取りたいときは頑張ると思うけど、基本的にはやりたくないですよね。やりたくないことに対しては気乗りしないですね。この人さえ口説き落とせば、本当に面白いことができるのに、というようなシーンがやってきたら、相当頑張ると思うし、その能力はあると思うけど。見知らぬおじちゃんに、ホットペッパーの枠を買ってください、みたいなことはピンと来なかっ たですよ。

世界進出をちょっと試してみる

—–今後の展開はどのように考えられていますか。
イベントっていう形でやってきましたが、その時に持っているものの中で一番出来るのがイベントだったので。いまは色々、メディアの人だったりWEBの人だったりとかが色々声を掛けてくれるから、そういった中で出来る一番面白いことは何なのかって考えたときに、ひょっとしたら何か、もっと面白いことが出来るだろうし。

あとは、中国でリアル脱出ゲームをやってみたら、凄い評判が良かった。3ヶ月の間に、合計で1万人が来てくれて。東京でも1万人のお客さんが来るのに二年近くかかったから、中国って凄いなと。自分が思いついた遊びが海外で評価されるのは、やっぱり凄い嬉しい体験だったから。2012年はサンフランシスコとシンガポールでやることが決まっているから、そこでどんな評価をするのか見たいなっていうのもあるし。

それから、東新宿にある常設型のリアル脱出ゲームとしてアジトオブスクラップというのがあるんですが、それのもっと大きい、100人ぐらいが入れるホールを自分たちで作りたいなと思っていて、いま探しているところです。

—–いよいよ世界進出ですね。
世界進出というか、ちょっと試してみるというか。やってみて、チケットが売れたら、いけるのかなと思うのかもしれないし、いかないかもしれないし。
—–パートナーさんと組まれて催行されるんですか?
サンフランシスコについては、スタッフの前の会社の上司がサンフランシスコにいて、連絡したら乗り気で。つながりのある中で、やることが多いですね。
—–今後のイベント展開についてお聞かせください。リアル脱出ゲームは今後も展開される?
そうですね。でも、他にも面白いこと思いつきたいなと思っています。脱出ゲームも思いついてから4年ぐらい経っているので。脱出ゲームでは面白い思いをさせてもらっているので、次は色々な新しいことをやりたいなぁと思っていますし。脱出ゲームの面白いところは、物語の中に入っているような体験ができること。そのツールとしてリアル脱出ゲームが比較的に上手く行ったと思うんですけど、大事なのは物語の中に入る体験を作りたいという部分なので、それをリアル脱出ゲーム以外のツールで感じさせることができないかなぁというのが、今のもっぱらの思案どころですね。

物語体験が出来そうな技術って、たとえば携帯電話であるとか、3Dの技術であるであるとか、そういった技術がたくさん出てきているので、そういった技術を使ったものが出てくるかもしれないし。まぁ、いろいろやりたいなと思っています。

スマートフォンのゲームも、もうすぐ出ますよ。

※ 編集 注:記事公開時点では、iphoneアプリ版が既に発売されています。androidアプリは公開前の状況。

http://www.scrapmagazine.com/wps/archives/13249.html

—–最後に、就職活動を始める、または社会人としてスタートを切る若者に向けて、何かひとことを。
えぇっと、僕も20代はゴロゴロして過ごしたんでね、許されるならギリギリまで、熱くなるのを待つというのもありだと思うんですがね。もし何か作りたいという気持ちがあるのなら、作り続けていれば。誰かが作ったものを浴びるだけだと、何ともならないけど。どんなものを作り続けていても、最低限の評価ぐらいはしてもらえるから。頑張ったなぁとか、キレイだね、とか。それがビジネスになるかどうか分からないけど。
まぁでも、案外みんな作っていないなぁと、何かのときに思ったんでしょうね。私いま、モノ作りがしたいんですって思っていても、1年間やったのコレだけ?みたいな。他に何かやってないのって聞いたら、コレだけです、みたいな。そうですかーって。何か色々、やるほうが良いんじゃないですかね。
僕もダラダラしてたけど、作ってたなぁ。どこにも発表されなかったりとか、陽の目は見なかったけど月に一回コツコツとライブをやってきて。自分で作った曲を発表するためのライブを作ったりとか、その為のチラシを作ったりだとか、お金を計算したり、メンバーを集めたり、宣伝したり。コツコツやり続けるってことが大事なんじゃないですかね。
モノ作るの好きですとか、考えるの好きですとか、そういう人って本当に考えるのだけが好きだったりとかするんで、とりあえず何か作ったら良いんじゃないかなって思いますね。
—–とりあえず何か形にして、積み上げていくって大事だったりしますからね。
そうですね。それで初めて、次にやるべきことが分かってくるとか。とりあえず、何も考えずにバーっとやったらいいんじゃないでしょうかね。リスクも少ないでしょうし。
—–インタビューへのご対応、ありがとうございました。

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聞き手:オルタナS特派員 滝井圭一、中川真弓