国連総会は、2011年12月19日、「子どもの権利条約」に「個人通報制度」を採択した。これは、本来保護してくれるはずの国の不法行為を、子供自身が、ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所に申し立てる道を開いたものである。

アースジャンプをする子どもたち

自然法、普遍立法に基づく国際法が、制定法(人間が定めた法律)体系に対して、普遍的な倫理のあるべき姿を問い質す手段を開いた画期的な歴史の幕開けだ。

折しも、福島集団疎開裁判では、裁判官が、死の灰がもたらす遺伝子障害のリスクを測れず、放射線障害が起こる可能性の高い環境に子供たちを置き去りにし、健康に暮らす権利(憲法第25条)を守っていない。このように、国内の司法や行政、政治によって子供の人権が圧殺される場合、生命権を守るために、子供自身がどう闘えばよいのかを示唆したもの。

今回の採択で福島第一原発事故の影響を受けた日本の女性や子供にとって救済の道が開かれた。子供の立場に当事者性という一筋の光が、人類共同体によってもたらされたのである。(オルタナS特派員山下由佳)