大手飲料メーカー5社は、賞味期限表示を「年月日」から「年月」に移行する取り組みを本年5月以降メーカー製造分から実施する。
対象商品は、アサヒ飲料の「アサヒ おいしい水」、伊藤園の「磨かれて、澄みきった日本の水」、キリンビバレッジの「キリン アルカリイオンの水」、サントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水」、日本コカ・コーラの「森の水だより」の2Lペットボトル。
実施の目的及び効果は、賞味期限をもとに配送や保管、店陳を日別に管理していたものを、月別に管理することで、サプライチェーン上の環境負荷(物流拠点間の転送および転送に由来するCO2排出等)や非効率(物流倉庫の保管スペース、店頭の先入先出作業等)を軽減でき、廃棄物削減などに繋げることを見込む。
日本では、年間約1,800万トンの食品廃棄物が排出されている。この中には、本来食べられるのに廃棄されているもの、いわゆる「食品ロス」が年間約500~800万トン含まれており、(平成21年度:農林水産省推計)長年大きな社会課題として注目されて来た。
今回の取り組みは、「日本TCGF」の「サステナビリティプロジェクト」の一貫である。
「日本TCGF」は、消費財流通業界の企業が主体となり、日本国内での非競争分野における共通課題の解決に向け、製・配・販の協働取り組みをおこなう組織で、2011年8月に立ち上がった。
「サステナビリティプロジェクト」は、震災後の資材調達をめぐる諸課題をひとつのきっかけとして、原料・資材およびその関連プロセスの標準化を検討している。また、原料資材調達から消費・リサイクルという一連のバリューチェーンにおける環境課題(地球温暖化防止、廃棄物削減等)を整理し、解決することを目指している。
CSR(企業の社会的責任)の最近の潮流は、競合他者との差別化、競争戦略として行うCSV(Creating Shared Value)などであるが、社会課題解決のために業界全体で標準とされているものを見直すには、このように同業種が集まる取り組みが必要であろう。今後もより多くの清涼飲料水、そして飲料水に留まらず「日本TCGF」参画企業の他商品にも展開されることを期待するとともに、他業種でもこうした組織をこえた取り組みに注目したい。 (オルタナS編集部員=山田衣音子)
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