ライフスタイルプロデューサーとして商品開発やイベントを企画する村上萌さん。ベーグルからジュエリー、自動車までの幅広いジャンルで若い女性向けのプロモーションを手掛ける。3歩ではなく敢えて1.5歩先という距離感で、来週の土日に実践できるような身近なワクワクの提案にこだわる村上さんの素顔にせまった。(聞き手 オルタナS特派員=池田真隆)

村上萌さん


――若者向けのプロモーションで、心がけていることはありますか。

村上:私は奇抜な発明や全く新しいものを作ることはできませんが、既存の物やいつも通りの物を少しの違いで新しい見え方にできるよう心がけています。

ベースが同じことにより共感が生まれ、それを踏まえた上で提案する少しの違いこそが日本女子の場合の「カワイイ!」であったり、ワクワクする瞬間なのだと思っています。

例えば、ジュエリーブランドヴァンドーム青山さんの展示会プロデュースの際には、普段ショーケースや白いマネキンがつけているジュエリーを絵の中の人間や大きな動物のオブジェにつけて展示しました。

ジュエリーを新しい見え方にしたことによって、多くの来場者が立ち止まりジュエリーに見入ってくださっている様子はとても嬉しいものでした。

ジュエリーと絵を融合した見せ方は好評を得た


――女性の「カワイイ」と思う気持ちをうまく引き出すのですね。

村上:大胆な変化などは人それぞれタイミングもありますが、小さな工夫でライフスタイルの延長線上にワクワクするものを提案できればと思っています。

渋谷にあるBIOcafeというカフェとコラボレーションしてベーグルをプロデュースした際にも、新しい味を作るのは料理家の方がやることであって、私の場合はあくまでも共感にこだわっていたので「おはようベーグル」というシチュエーションで提案しました。

そこから朝に合う素材を考えていきましたが、朝ごはんにベーグルがあると起きるのがワクワクするという気持ちが伝わったのか、おかげさまでお店からは前代未聞の売れ行きだったと喜んでいただくことができました。

東京・原宿にあるショップ・オフィス・アパートメントの3つの機能が一つになったシェア型複合施設「THE SHARE」が2012年1月にグランドオープンします。そこでは女性用フロアのモデルルームをプロデュースさせて頂いたのですが、ストーリー性、遊び心を意識しました。

一人の女の子の理想の一日を思い描きかなりリアルな部屋を作りました。

AM10:00
「朝ごはんを食べながら雑誌のスクラップ。このインスピレーションが
このあとのミーティングにつながる、大切な時間。
今日もいいお天気。午後は代々木公園で始めたばかりのヨガの予定。
マットを乗せた自転車を持って1階に降りよう」


難しい設定ではありませんが、内見にいらした方からは男女問わず「こんな生活がしたいので入居を決めました!」と共感の声をいただくことができました。

――大学卒業後から、フリーで活躍されていますが、就職活動はされなかったのでしょうか。

就職活動をしてPR会社やメーカーから内定をいただきましたが、インターンをした結果どうしても自分の中で納得できず辞退させていただきました。

元々学生時代にミス成蹊大学に選ばれて、テレビの情報番組でオススメ情報を発信するレポーターをしていました。しかし、自分が知らないものや好きではないものを「世の中で『流行』している」と紹介することに違和感がありました。

自分が関わったものや良いと思ったものを提案できたら・・と思い、メーカーでのインターンにより企画会議に参加したりもしながら、ブログと言うセルフメディアの中で自分なりの提案を始めました。

ネットに自分の実名と顔を出して意見を言うことに対して最初は抵抗がありましたが、プロデューサーとして自らの肩書きを名乗り、来週がワクワクするような記事を書くことで会ったこともない方から共感していただけることはとても嬉しいことでした。

そして徐々に「次回の新商品の企画を一緒にしませんか」「イベントのプロデュースをお願いできませんか」と、新しいお話をいただくようになり、今ではその結果報告をブログで更新するとまた次のお話をいただいて~というありがたい流れができました。

このように女性に向けて提案をしていきたいとは思っていますが、もう一つ発信できるとしたら学生にメッセージが届けばと思います。

就職活動をしている際に、特に女性は何かを決断する時に何かを諦めなくてはいけない、と思っている人が多いように感じました。

昔のようなエリートコースというものが崩れてきた今、大企業に入らなくても正解は一人一人が持っていると思います。
SNSの進化によって、個人として自分の名前で仕事することはとても簡単になりました。私は就職活動を経た上でたまたま就職しない働き方を選んだので、必ずしも就職しない道を薦める訳ではありません。組織の中で学ぶことは勿論沢山あると思います。

だけど多くの学生には就職難だからといって落ち込むのではなく、働き方には選択肢がいっぱいあるということを私自身の行動で伝えられたらと思っています。

自ら名乗った肩書きでも十分自分をブランディングしていける、最高に面白い時代だからこそ。

村上萌(むらかみ・もえ):
1987年8月16日生。2007年ミス成蹊大学 を経て、ズームインSUPER女子大生レポーターとして『おしゃれアンテナ』の準レギュラーを勤める。2010年にMiss Foever21JAPAN初代グランプリとなったことで人気ブロガーに。2011年には自ら法人を設立し、現在はライフスタイルプロデューサーとして女性に向けて商品やイベントのプロデュースをしている。2011年秋全国の電車内の広告では働く女性の代表の一人としても抜擢されている

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