千葉県松戸市に、地元の子どもたちに人気の面白いアート教室「アトリエミルクル」がある。ミルクルでは、素材(紙やペットボトル、画材など)を提供し、子どもたちの創造力に任せて自由な作品作りを行っている。昨年7月にオープンし、口コミで広がり、現在40名ほどの子どもたちが工作をしにやってくる。ミルクルを主宰する鈴木美穂さん(26)に、そのこだわりや想いを伺った。(文・写真/オルタナS特派員 猪鹿倉陽子)



■子ども向けの工作教室をずっとやりたかった
――まず、なぜアート教室を開こうと思ったのですか?

子どものころからわくわくさんの番組(「つくってあそぼ」NHK教育)が好きで、将来は工作教室をやりたいと思っていたんです。聖徳大学で児童教育の勉強をしていたのですが、そのコースが工作や絵本作りなどの実技が中心のコースでした。その中で、きちっと決まったルールに則って作品を作るというより、子ども向けに自由な発想で工作ができる場をつくりたいという気持ちが強くなっていきました。

――ミルクルをオープンするまでの経緯を教えてください。

大学一年のときには松戸市の工作教室「けやき」でボランティアをしていたのですが、そこが保育園「ケヤキッズ」になったんです。ですので、卒業後はその保育園で3年間働き、「アートの時間」を担当しました。さらに同じ系列で小学生向けの学童保育のスペースもオープンしたので、そこでのアート教室も担当していました。

そんな中、友人にMAD City galleryでの「green drinks 松戸Vol.0」というイベントに誘われて参加し、今アトリエとして使っている「旧・原田米店」を紹介いただきました。その後、昨年7月にアトリエミルクルをオープンし、工作教室を始めました。

■使われていなかった古民家を工作教室として利用
――アトリエミルクルの場所も面白いですよね。

はい。ずっと使われていなかった古民家の一階のスペースを利用しています。人通りが多いので、中で教室をやっていると地域の人が気軽に見に入ってきてくれます。「昔はここの庭で遊ばせてもらっていたの。また使われるようになってうれしい」と言われたこともあって、改めてこの場所でやってよかったなと思います。

木造の古い家なので、今の住宅にはない小さな木の扉は子どもたちにも人気ですね。庭もあるので、「今日は植物を使ってみよう」といった時にもすぐに屋外に出て庭で教室ができるのもうれしいです。また、この旧・原田米店には他のアーティストさんも入ってアトリエとして使っているので、子どもたちと他の方の作品を見て回ったりもしています。

■「失敗してもいい!最後にはうまくいく」

――具体的にどのような工作をしているのですか?

例えば、「おそうじアート」。これは、ほうきやモップといった掃除道具で机やイス、パーテーションに自由にペイントするものです。ふだんは画材として使わないものですし、描くものもふだんは絵を描けるものではないので(笑)、みんな楽しんで描いていましたね。

――さまざまな年齢の子どもたちがいますが、幼児と小学生ではやはり内容は違ってきますか?

そうですね。まったくできることが違いますから。幼児の場合は、はさみやのりの使い方などの技術的な部分のサポートが必要です。小学生の場合は、基本的な作業はできるので、きっかけや素材を与えれば、あとは自分の感性で自由に作品を作っていきます。



――昨年行われた松戸のアートプロジェクト「松戸アートラインプロジェクト2011」では、町の人たちも参加できる面白い作品づくりをしたそうですね。

そうなんです。「芯のある町」と題して、廃材のトイレットペーパーや工場から譲ってもらったフィルム芯などを使って町の模型を作りました。ふだんアート教室に参加している子どもたちだけではなく、町の人たちにも参加してもらい、作り上げていきました。



芯のある町のテーマは「再生」でした。ものの中心や信念をあらわす「芯」ですが、3.11後の被災地の復興、再生を願いながら改めて本来の「芯」について考え直し、中心となるものを見つけていくというコンセプトで作っていきました。

トイレットペーパー、サランラップ等の日用品の芯は支えとなる重要な素材ではありますが、役目が終わればゴミになってしまいます。果たして「使い捨ての芯」でよいのか、使い捨てではなく、持続可能な「芯」を見つけ出し、作り上げていくことを未来を担う子ども達に伝えていきたいと考え、このテーマにしました。

――子供たちと工作をしていくとき、何か気をつけていることはありますか?

子どもたちには「失敗してもいいんだよ!最後にはうまくいくんだよ!」と言っています。絵を描くのがあまり得意でない子も、例えばスプレーに絵の具を溶いた色水を入れて、シュッシュッと吹きかけるだけで立派な作品の一部になります。また、手足に絵の具をつけてペタペタつけていくのも楽しいですよ。

――それは楽しそうですね!ミルクルに来る子どもたちに変化はありましたか?

親御さんから「前は絵を描く時も小さくまとまっていたけれど、ミルクルに来るようになって大きな絵を描くようになりました。また、普段の生活でも自分を積極的に表現するようになりました」ということを言われました。うれしかったですね。

■アットホームな雰囲気の教室で子どもの感性を大切に
――これからはどのようにミルクルをやっていきたいですか。
あまり硬い場所ではなく、アットホームな雰囲気の教室をやっていきたいですね。子どもの感性を大切にしながら楽しい場所にしたいです。

■実際にミルクルのアート教室に行って来ました!レポートはこちらから