自給自足できる街をテーマに2011年5月から毎月1回開催されているgreen drinks
松戸。2012年は「○○をつくろう!」をテーマに掲げ、少しでも自給力を高めること
を目指していきます。
そのスタートとなる今回のvol.7は「元気になる料理をつくろう!〜発酵食品の
チカラ〜」と題し、1月27日、松戸市内の自然派カフェ「晴れる家cafe」にて
開催しました。発酵食品の一つ「塩麹」に特に注目した今回は、晴れる家cafe
オーナーの斎藤晃さんに教わりながら塩麹&塩麹料理づくり体験を行いました。
■日本食の知恵の結晶・塩麹とは?
まず今回のホスト、晴れる家cafeのオーナーの斎藤晃さんにお話を伺いました。
「日本食には私たちが健康で幸せに生きるヒントがある」そう語る斎藤さん。
日本食はいまや世界中で知られています。たとえば「食」「健康」という
テーマにおいて何かと取りざたされる「マクロビオティック」も日本生まれ。
海外で発展を遂げた後、現在は日本でも再び注目を集めています。
そんな日本食の「健康で幸せに生きるヒント」の一つが「発酵」です。日本食
には「発酵」を利用して作られる食材がたくさんあります。たとえば納豆は
納豆菌の作用によって、あの独特の風味と粘り気を与えられます。
では、「塩麹」はと言うと、もちろん「麹菌」の発酵によって作られる
食材です。同じく麹菌の作用によって作られる食材の仲間には味噌、醤油、
酢など、日本食の代表的な調味料がそろい踏み。
「日本酒は麹菌の発酵によって作られる世界トップレベルの醸造技術を
誇るお酒。皆さんにはそんな日本酒と麹菌の良さをもっと知って欲しい」
斎藤さんが熱く語るように、日本酒も麹なくしては作り出せないお酒です。
このように、麹菌がなければ日本の食卓は様変わりしていたことでしょう。
「日本食は発酵なくしてはあり得ない」とは斎藤さんの弁。つけもの床と
して古くから利用されてきた塩麹は近年福井県を中心にその価値の見直し
が始まり、2011年の後半には全国的に認知されるようになりました。
発酵食品は免疫力を高めるとも言われます。外的な環境への不安が日に
日に大きくなる昨今、ホットスポットとなった松戸ではなおさら、発酵
食品は身体の内的な環境を整えるのに役立つと言えそうです。
発酵と塩麹について理解を深め、つぎに斎藤さんから塩麹のつくり方を
教わります。
材料は米麹、塩、水。ほかに特別なものは必要ありません。ほぐした
米麹に塩と水を加えて混ぜ、揉んでどろどろにするだけ。ありふれた
材料が菌の力によって何倍にも美味しくなる。それが発酵の最大の
長所なのです。
特に大事なのは「揉む」ことだそう。斎藤さんによれば「ぎゅっと形が残るくらい
握って下さい」とのこと。
発酵の初期は水を多く必要とするので、足りないようなら足してやります。
麹菌による発酵を経なければ料理に使える塩麹にはなりませんから、かなめは
菌を育て活動を促す、その後の管理にあるようです。
しかし、発酵においていちばん大事なのは「菌に委ねる」こと。
少々いいかげんにしても、きっと麹菌が何とかしてくれます。
■「故きを温ねて新しきを知る」
つづいて塩麹を使った料理作りに挑戦します。
完成した料理を囲んで、いよいよgd恒例の乾杯!& 交流の時間です。
どのテーブルでも、口々に「美味しい!」との声が上がります。私も頂いて、
「塩のかわりに塩麹」というシンプルな考え方は、実に正解だと感じました。
顔なじみの食材や料理に麹のうま味や香りが加わって、とても美味しい。
発酵食品は日本人が昔から馴染んできただけに、私たちが身体を養うのに最適
な食品です。長く受け継がれてきたものや方法を美味しくアレンジして現代に
活かす。私たちが伝統に向きあう時、それがいちばんちょうどいい姿勢なの
かもしれません。人々が当たり前のこととして自給自足の生活を送っていた
かつての日々をたずねることは、自給的な生活の知恵を養う近道と感じました。
そんな身近なところに改めて目をむけ、暮らしのなかにプチ自給を取り入れる
ことから、自給力を高めていきませんか?
reporter
吉野元春
横浜市戸塚区在住。かつてトゥール・ポワティエ間の戦いが起こった
10月10日に生を享ける。尊敬する人物は吉本隆明と古井由吉。松戸
アートラインプロジェクト2011のレポート班・インタビュー担当。
八ヶ岳の近くにある農業大学校出身で、羊と花を愛する男。
Twitter:motechi