アートを通して子どもたちに希望と自信を与える基金「GOFAR BANK」(大阪府交野市)は、東日本大震災から丸一年を迎える3月11日に「久ノ浜復興の誓いコンサート」を福島県いわき市久之浜中学校体育館で開く。当日は関西の子どもたちと福島県いわき市久之浜の子どもたちの手形による壁面アートの展示が行われる。また被災地の人たちの力になりたいと、アコーディオン奏者「かとうかなこ」さんとヴァイオリニスト「向島ゆり子」さんが演奏を行う予定だ。

手形アート

GOFAR BANK代表の馬場多絵さんは、普段大阪のアトリエで子どもたちに絵画を教えているが、子どもたちの絵や熱心に絵を描く姿を見ていつも幸せな気持ちになるという。「子どもたちの描く絵には、大人には到底表現できないような純粋さがありますね」と馬場さんは語る。子どもたちの絵がもつ力を実感した馬場さんは絵を通じて飢餓や貧困に苦しむ子どもたちに少しでも元気を与える活動を行いたいという思いから2008年「GOFAR BANK」を立ち上げた。

今回のイベントは、馬場さんが実際に被災地へ赴いたときに子どもたちの様子を見て、物資の支援ももちろんだが精神面でのケアも重要との思いを強くしたことに始まる。また、馬場さんは多くの被災者が3月11日を「悲しみの日」としてのみ捉えるのではなくて、「明日の希望へと歩き始める日」にしたいという気持ちを持っているということも知り、福島から世界中に向けて希望のメッセージを伝えるイベントを開催することを決めたという。

イベント当日は地元の子どもたち100人が参加し、関西の子どもたち300人と地元の子どもたちの手形でできた5×8mの巨大ハートアートが掲示される。また、子どもたちを元気づけることができるのは同じ世代の子どもたちだという考えから、イベントの後に関西の子どもたちと本人が描いた絵をマグカップにしてペアでプレゼントする。馬場さんは「今回のイベントで同じ世代を生きる子どもたちが、お互いにつながりを感じることのできる機会になれば」と語った。 (オルタナS特派員関西支局=橋本翔一朗)