リオ+20という言葉を初めて聞いた方へ。
この特集では2012年6月20日から22日にかけて開催されるリオ+20について総力取材していきます。毎週月曜日と金曜日に更新します。【1時間目】は「リオ+20とは何か」というテーマで全体概要について、【2時間目】はリオ+20に向けての日本国内での動きをご紹介しました。

【3時間目】の今回は地球サミット2012JAPAN代表の佐藤正弘さんのインタビューをご紹介します。「地球サミットの歴史」「リオ+20の狙い」などをテーマにお話を伺いました。

リオ+20で焦点とされるグリーンエコノミーで世界はどう変わるのか


東日本大震災で多くの日本人の価値観が揺らいだ。リオ+20ではグリーンエコノミーが焦点になり、世界中がグリーンエコノミーへと向かうとされる。この状況下で日本が世界に示すことは何だろうか。地球サミット2012JAPAN代表の佐藤正弘氏は「新しい豊かなライフスタイルを若者から発信してほしい」と話す。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)


——今年、地球サミットがリオに戻ってきます。まず、地球サミットの歴史について教えてください。

地球サミットの歴史は、私たち人類が20年前に何を決めたのか、から始まります。20年前にリオで私たち人類は、持続可能な発展という壮大なプロジェクトをはじめました。

持続可能な発展は、一人一人が、生まれた場所や地区に関わらず人生において価値のあると思うことにチャレンジできる環境にいることを目指しています。

——なぜ1992年から始まったのでしょうか?

佐藤:国連が本格的に環境問題に取り組みはじめたのは1972年でした。スウェーデンのストックホルムで開催された国際連合人間環境会議です。

なぜ、1972年なのかというと、50・60年代には公害問題が騒がれていました。「沈黙の春」が世の中に出たのも1962年のことです。

1972年からの20周年を記念した会合として地球サミットは開催されました。

1972年の会議では、企業単位の公害問題が議論の中心にあがりましたが、1992年には、地球規模の問題が出てきました。オゾン層や温暖化問題などです。つまり、全人類が加害者であり、被害者でもありました。

そこで、全人類がまとまって課題解決に挑むため、共通して持つ目標を設定する必要がありました。そこで生まれたのが「持続可能な発展」です。

■グリーンエコノミーは、単純に環境に配慮した経済ではない

——リオ+20で議論される焦点はグリーンエコノミーだと言われていますね。

佐藤:メインテーマは、これからのグリーンエコノミーとされていますが、私たちはその前に過去20年間で、何をしてきたのかを振り返る必要があります。

20年前と比べて、南北貧困問題、温暖化問題などは解決に向かっているでしょうか。まず、過去の行為を整理してから、これからを議論しなくてはいけません。

——過去を振り返った上で、これからを議論していくことが非常に大切ですね。

グリーンエコノミーを、これまでのブラウンエコノミーの考え方で捉えてしまってはいけません。多くのNGOが危惧していることは、これまで石油や化石燃料を使用して儲けていた企業が、次は生態系を資源として儲けるかもしれないということです。

■BRICsに日本が提示する豊かさ

——ここで言われているグリーンエコノミーとは、具体的にどのようなことを指しますか。

佐藤:グリーンエコノミーとは、単純に環境に配慮した経済と捉えるべきではないと思っています。

今、世界の人口は約70億人です。2050年には93億人になると予測されています。そして、今世紀末には100億人になり、安定するといわれています。

このままの消費量で人口が増加すると資源は減少していきます。よって、増加していく人口と折り合いをつけながら地球の生態系などの自然資源を調整していくのが、グリーンエコノミーのあるべき姿です。

——東日本大震災で多くの人の価値観が変わりました。世界がブラウンエコノミーからグリーンエコノミーに向かっていく中で、日本が果たすべき役割とは何でしょうか。

佐藤:BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)などの経済成長の勢いは止まりません。経済大国といわれた当時の日本を見ているようです。しかし、今の日本は豊かでしょうか。経済的な豊かさを追い求めるあまり、年間の自殺者は3万人を越しています。

今、世界に向けて日本が発信することで期待していることは、新しいライフスタイルの提示です。東日本大震災でこれまでの価値観が揺らぎました。なので、既存の価値観に捉われずに、改めて感じた豊かさとは何かを発信してほしいです。

20年前にはソーシャルメディアという存在はありませんでした。しかし、今ではツイッターやフェイスブックで、簡単に世界中の人たちと繋がれます。ぜひ、若者たちから豊かなライフスタイルを発信してほしいと思っています。



以上で、【3時間目】地球サミット2012JAPAN代表佐藤正弘さんのインタビューは終わります。次回、【4時間目】は、4月23日月曜日に更新します。内容は「1992年から2012年の20年間での地球環境の変化」についてです。お楽しみにお待ち下さい。