日本では約15人に1人が生涯でうつ病を経験するといわれている。厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設で実施している「患者調査」によると、1996年には43.3万人だったうつ病総患者数は2008年に104.1万人に増加した。

うつ病で苦しむ当人だけでも100万人以上いる日本では、うつ病患者を支援する人も悩みを抱えている現状がある。周囲からは精神疾患への偏見があり、身近な人がうつになったときに相談しにくく、孤立してしまうケースが多いという。

うつ病経験者だからこその支援者向けサービスを目指す


そこで、うつ病患者を支える人専用のウェブ上コミュニティ「airpit(エアーピット)」が開発された。支援する人同士でそれぞれが抱える悩みを相談し合う。実際にうつ病患者を支援した経験のある人専用のコミュニティなので、実用的なアドバイスが得られる可能性が高い。

開発したのはうつ病患者をITの力で支援するU2plus(ユーツープラス、東京・港)。うつ病患者専用のコミュニティをウェブ上に作り、うつ病で苦しむ人たちで楽しさやつらさを共有した。

今年4月に実施した利用者アンケートでは97%が効果を感じているという結果がでた。

ユーツープラス代表の東藤泰宏さん(30)自身も2008年にうつ病に苦しんだ経験がある。働いていた会社も辞めて、人と会話することさえできなくなってしまう期間もあったという。1年半ほどの療養を経て、うつ病支援を行う同社を起業した。

東藤さんは「支援する側にはなかなか助けの手がまわらない。今まで支援されてきた側が動かなくてはいけないと感じた。基本的な知識の共有や、個別で悩み相談などをこのサービスを通じて実現していきたい」と話す。

エアーピットは6月中にクラウドファンディング「CAMPFIRE」に掲載されて、制作・運営費を募る予定である。(オルタナS副編集長=池田真隆)