フィリピン・マニラでは、外国人観光客を狙った少年少女による強盗が相次いでいる。だが、その背後には警官からの脅迫があるという。マニラ在住で開発メディアganasの記者・篠塚辰徳氏に寄稿してもらった。





マニラで外国人観光客を狙って合計100万ペソ(約200万円)を脅し取った少年ら3人が「『強盗をしないと殺す』と警官から脅迫されて、犯行を繰り返した」と証言した。

インタビューに応じたのは16歳と17歳の少年2人と16歳の少女。3人はすでにマニラ首都圏警察に強盗容疑で逮捕され、現在はマニラ市内の更生施設にいる。

少年らが犯行を繰り返していたエルミタ地区


少年らは15人(10代3人、成人12人の男女)で構成される強盗団の一員。3人のうち1人はこれまでに計18回、警察に拘留された経験をもつ。その都度「外に出してくれたら現金を盗んで渡すから釈放してくれ、と警官に頼んでいた」と明かす。

犯行の際に警官2人と連絡を取り合うようになったのは2年前から。強盗団のリーダーの女性(25)が携帯電話で、その日に強盗を実行するかしないかを警官に伝える。それによって警官2人は犯行を予知し、実行犯をかくまった。

犯行場所は、歓楽街があるエルミタ、マラテ両地区だ。ターゲットは外国人観光客。犯行前に飲食店の店員から、多額の現金を持っている外国人客の情報をもらい、標的を決めることもあった。フィリピン人を狙うことはなかった。その理由について「もし金持ちだったら、(復讐として)犯行後に命を狙われる可能性があるから」と説明する。

「日本人は狙いやすかった。特に50、60代の日本人男性は歓楽街で気が緩んでいて、注意も散漫。空手ができるかもしれない若い日本人や身体能力が高いアフリカ系米国人は襲わなかった」

警官2人からは毎日のように現金を持ってくるよう催促され、「指示に従わなければ殺すと脅された」と3人は暴露する。彼らが盗んだ現金はすべて、エルミタ地区の交差点付近で、強盗団のリーダーが警官に渡していたという。9割が警官の取り分だった。

取材に応じる強盗団のメンバー3人(右端除く)。マニラ市の更生施設で

警官2人はすでに人身売買禁止法違反の疑いで逮捕、送検されている。フィリピンの人身売買禁止法は、子どもを脅迫して強制労働させることや強制的に利用すること、武器を使った活動をさせることを禁じている。有罪になると、最高で終身刑と200万~500万ペソ(400万~1000万円)の罰金が科される。違反者が国軍や警察といった政府関係者の場合、刑罰は重くなる。

警官2人は現在、マニラ首都圏警察の拘置所に拘束されている。取材の申し込みに対して2人は「弁護士を通さないインタビューには一切応じない」と回答した。警察によると、2人は容疑を否認している。


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