今年8月、「だるい、めんどくさい、働きたくない」という一行から始まる本が出版された。著者は、インターネット上で「日本一有名なニート」と称されるpha(ファ)氏だ。「頑張らず、無理なく楽しく暮らす生き方と考え方」を提唱した内容となっている。

『ニートの働き方——お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法(技術評論社)』


著者のファ氏は京都大学を6年かけて卒業した後、大阪の大学職員として勤務するも、一日2、3時間仕事をし、あとの時間は仕事をするふりをしながらインターネットをする、いわゆる社内ニートという生活を送っていた。

その生活に嫌気がさし、28歳で仕事を退職。退職後は東京に移住し、パソコンやインターネットが好きな人が集まって暮らすシェアハウス「ギークハウス」を立ち上げた。

ファ氏の現在の生活の9割はインターネットによって支えられている。ブログやサイトに貼るアフィリエイトを収入源としているほか、ツイッターなどのSNSを活用して生計を立てている。

ツイッターで、「古くてボロくていいので自転車を誰かくれませんか、取りに行くので」と書き込めば、そのつぶやきが多くの人にリツイート(気に入った発言を更に広めること)され、自転車を提供することに名を挙げた人が5人集まった。

さらに、インターネット上でカンパの募集をすれば、5年で40万円相当のお金や支援物資がファ氏の手元に届いたそうだ。

著書の制作費もインターネット上で資金を集めるクラウドファンディングを使用した。結果的に、63万円以上が集まり、当初の目標金額である10万円を大きく上回った。

これほどまでの金額が集まる理由としては、寄付した金額ごとに異なる特典があるからだ。例えば、著書の巻末や公式サイトに名前が記載されることや、ファ氏の直筆サイン入り著書、ファ氏のオススメ本がプレゼントされるなどの特典がある。

ニートと聞くとネガティブなイメージがあるが、この本は我々に新たな生き方を切り開く一冊になるかもしれない。今の生き方に疑問を抱いている人や、生きづらさを感じている人にオススメしたい。(オルタナS特派員=高橋一彰)


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