石倉教授の「今の時代に求められるリーダーとはどのような人物か」という問いに対して、クロスフィールズの小沼代表は、「情熱」が必須であると答えた。
「英語やロジカルシンキングなど、スキルにフォーカスし過ぎている傾向にある。問題意識を身につければ自然とリーダーシップは磨かれる」と。

この答えに対して、「では、情熱はどうやって育てる?」と石倉教授は問いかけた。小沼代表は、「情熱は教えられるものではない。原体験がないといけない。座学だけではなく、実践することが必要」と話す。

挫折から学んだもの

小沼代表だけでなく、松田代表も小林代表も、リーダーシップのためには実践が必要との意見を述べた。実践していて挫折はなかったのかと、石倉教授は聞いた。

小林代表は、「設立準備中にリーマンショックが起き、約束されていた投資額が全額なくなってしまい、0からのスタートになった。結果的には、開始時から厳しい努力を迫られたので、それが良かった」と話した。

挫折をチャンスに変えた例として、松田代表も話した。「教育委員会と一緒に事業を行うのだが、一方的にこちら側の話だけをしていた。相手の課題を聞き出すことを忘れていた」と、コミュニケーションのあり方を見直したことがあるという。

「教育委員会の中にも、現状を変革していきたいと考えている人はいる。同じ志を持った仲間を見つけたら、話が早く進んだ」と、松田代表。

大手企業への留職を展開する小沼代表は、「2年前までは、営業に行っても無視され続けた」と振り返る。1年で120社ほどに営業に行くこともあったが、「頼むから帰ってくれ」と担当者から言われたこともあるという。

現在は、ベネッセやNECなど6社が導入しているが、状況の転機となったのは、仲間の存在である。「共感してくれた社員が上司に掛け合って、代わりに、プレゼンしてくれた。仲間は必ずいると確信した」と。

パネルディスカッションの終わりに、石倉教授は会場の参加者に向かってこう述べた。「今日の話を聞いて、良い話だったで終わったら意味がない。考える前に、まず動いてほしい」。(オルタナS副編集長=池田真隆)

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