「エシカルでモノは売れるかというテーマで文を書いてほしい」。そう編集部の方から依頼を受けたとき、正直、少なからぬショックを受けました。

こんな議論は、もう一時代前に終結したものと思っていたからです。

「エシカルや社会貢献といったものはあくまでも『付加価値』であり、そこに依存していたのではビジネスとして持続できない。一般的な商品と比べても十分に競争力があるモノやサービスを作っていかなくてはならない」。

今やエシカルを標榜するブランドでその自覚がないところはないでしょう。そんな時代にあえてこのテーマをいただくとは、私たちブランドサイドの努力がまだまだ不十分であるという事実を突きつけられ、改めて覚悟を問われたような気がしました。

確かに、エシカルであろうとすれば、搾取をしたり環境に配慮しない素材を使ったりして1円でも安く製造しようとしているメーカーのように安価に作ることはできません。

価格競争ではどうしたって太刀打ちできないのです。

そのためにandu ametでは、
1・エチオピアでしかとれない、それもごく限られた数量しかない最上級の素材を使う、2・大量生産では作れないような手の込んだ技法を取り入れる、3・独自性の極めて高いデザインにする、4・イベント(*)を重視し、お客様と直接コミュニケーションをとるなど、マスマーケットをターゲットにしたブランドでは逆にとてもできない戦略を選択し、価格とはまた違うベクトルの競争力を上げています。

この戦略は功を奏し、andu ametの製品は決して低価格とはいえないながらもオンラインでは約3カ月の生産待ち、先日横浜でオープンした期間限定ショップも大成功をして会期終了の翌日から常設販売していただけるなど、多くのお客様から受け入れていただいています。

とはいえ、大幅な納期遅延、オーダーしたものとは違うものが納品される…etc.などの問題はまだまだ日常茶飯事。

「エシカルだから」「かわいそうな途上国の人たちのためになるから」と善意やお情けで買っていただくのではなく、本当に気に入っていただき、ご購入後も大切にご愛用いただける製品を提供できるよう、今後もさらに努力をし続けていきたいと思います。(寄稿・andu amet代表 鮫島弘子)

andu amet
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*現在申し込み受付中のイベント
  5/15 トークイベント「エシカル経済が世界を変える | by HASUNA & andu amet」http://peatix.com/event/11878/view
  5/25 エチオピア体感イベント「Trip to Ethiopia | presented by TABLE FOR TWO & andu amet」 http://www.anduamet.com/blog/eventmedia/post1346