「どうしよう!メインゲストのビザが下りない!」
あれはオフィス設立2年目の春。1年で最も重要なイベントを数週間後に控え、めまぐるしく準備を進めていたある日のこと。アフリカから招聘を予定していた、イベントのメインスピーカーである人権活動家の日本入国ビザが、このままではイベント当日までに発給されない危険性が浮上した。

吉岡利代さん ©IL鮎澤大輝

筆者が勤める国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ (www.hrw.org/ja)では、年1回チャリティディナーを開催し、世界中の勇敢な人権活動家に人権賞を授与しているが、このままでは主役不在となってしまう。すでにお申し込みを頂いた数100人の寄付者の方々に何と説明しよう!?一瞬背筋が凍り付く思いがした。

もし、これが企業であったのならば、ゲスト招聘のための専属スタッフがあっという間に問題解決、となるのかもしれない。しかし、そうスムーズに進まないのがNGO!

何しろフルタイムスタッフ2人とインターン4人という小さなチームで、200人以上のゲストをお迎えする。このイベントのロジから広報から進行まで全て進めなくてはならないのだ。

でも、諦める訳にはいかない。あるリソースをどう使えば最も有効かを考え、すぐにアクション!まず、英語の得意な学生インターンが、ネット上の解決に役立ちそうな全ての情報を収集。

更に、社会人インターンの学生時代の友人が外務省勤務であることをつきとめ、ビザ申請プロセスの詳細なアドバイスを頂く。更に、日本大使とお知り合いである理事にもお力添えをお願いする。

その後も電話、メール、ファックスなど考えられる全ての方法を使い、スタッフ、インターン、ボランティア等の知恵とネットワークを最大限活用し問題解決に挑んだ。

みんなの熱い想いが通じたのか、その後紆余曲折あった後に無事ビザは発給され、イベントも無事執り行うことができた。

リソースが限られるNGOでは、常に全員でスクラムを組み、一人何役もこなすのは当たり前。この危機を乗り越えたことで、チームの絆は一層強まり、気づいてみれば支援者のネットワークが一回り大きくなっていた。

ミッションを達成する熱い気持ちと、フットワークの軽さとちょっとしたアイディアで、周りの仲間を巻き込みつつ、一歩一歩社会を変えてゆく。それがNGOの仕事の醍醐味だ。(寄稿・国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表代理 吉岡利代)