東京都で島嶼部を除く唯一の村、檜原村。
そこに、持続可能な森を活かし産業として林業を確立させようとしている会社がある。
株式会社東京チェンソーズ。ネーミングからしてグッとくる会社だ。
その社員に、林業×ファッションというスタイルを紹介する
「チェンソーボーイズコレクション(チェンコレ)」や、
林業に関することをカッコおもしろく撮影する「No forestry No life!」などの
アクションを行っている若者がいる。
森谷隼斗さん。20歳。
彼の夢は、林業界のイメージを変えること。エシカレのにおいがぷんぷんする
森谷さんにお話を伺った。
山で遊んだ子ども時代
―――林業に興味を持ったのはなぜですか。
子どものころから自然が大好きで、ゲーセンや洋服を買いに行くよりも山や川で
遊んでいました。そのためぼんやりと自然に関わる仕事がしたいと思っていました。これが原点だと思います。そして大学の環境学科に進学しました。
ですが実験や研究をするばかりで、自分としてはもっと体を使って自然に触れたかったので、ずっと違和感がありました。そして意を決して「学校を辞めたい」と親に伝え、2年生に進級する前に辞めました。
体に雷が走り、気づいたらメールを送っていた
―――学校を辞めて、今の会社にはどのように入ったのですか。
たまたま夕方のTVニュースを見ていたら、東京チェンソーズが取り上げられていました。名前にしびれましたし、働いている人もすごくカッコよかった。
「自分はこれを探していた」と体に雷が走り、気づいたら「ぜひ御社で働かせて
頂きたい」とメールをしていました。
そして会社から「即答はできないけど遊びにおいで」と言って頂き、伺いました。
ちょうど、東京チェンソーズでも来年度にむけた新規採用を検討していたタイミングだったので、面接を受けて入社することができました。めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。
社長の想いを引き継いで、若造の自分ができること
―――林業界のイメージを変えたいと思ったのはなぜですか。
社長の林業に対する想いのひとつに「子どもや若い人たちにカッコいいと思ってもらえる仕事にしたい」というのがあり、いいなと思ったことがきっかけです。
自分もTVを見て林業はカッコいい仕事だと思ってやりたいと感じました。また技術も経験もない自分でも林業のイメージを変えることならできるのではと思いました。
そして行きついたことがチェンソーボーイズコレクションです。
カッコよく林業する
―――チェンソーボーイズコレクションとはなんですか。
仕事の傍ら、派手でカッコいい服装で林業をして、それを発信することです。
自分のことを見た人が、「林業カッコいいな。自分もやりたいな」と思ってもらえればベストですが、まずは「あんな派手な格好で何しているんだろう。あ、林業やっているんだ。」と関心を持ってもらうところからスタートとしたいと思っています。
そして「No forestry no life!」というのも行っています。林業をしていてカッコいい瞬間やプライベートに林業を取り入れたちょっとくだけた写真などを撮影し、作品としての林業を見せるようにしてます。
イキイキする自分を見て、母が喜んでくれた
―――林業やチェンコレなどの活動を始めてみていかがですか。
林業を始めたことで、ストレスが無くなりました。大学時代はやりがいを感じることができず、家に帰ると疲れていました。
大学を辞める際、父にも友人にも反対されましたが、母だけは自分の背中を押してくれました。なぜなら、母は毎日やりがいを感じていない自分の姿を見ていたからです。
今は、毎日イキイキして家に帰ることができるので、母はもちろんのこと、当時
反対していた父も今ではすごく喜んでくれています。
ちなみに、「チェンソーボーイズコレクション」の名づけ親は母なんです。
そして、チェンコレに対しても反響がありました。自分のブログを見た方が、自分と同じウェアを買って、それを着ている写真に応援メッセージを添えて送り返してきてくれたことがあります。
その時は嬉しかったです。自己満足ではなく、少しでも人の心を動かすことができたんだなと。
自分の夢に終着駅やゴールは無い
―――今後の夢を教えて下さい。
最近、宣伝用に東京チェンソーズのTシャツをつくりました。
価値観を強要するわけではなく、例えばこのTシャツを見て「何だあれ」と思ってもらうところから興味を持ってくれる人が増えていくような、林業への入り口を
下げる活動をしていきたいと思います。
そして林業以外の世界ともつながって、自分の見える景色を拡げていきたいと思っています。その様な活動を通じて、林業を知ってもらうことから、林業という仕事のイメージを変えたいです。そして、何より東京にも森があり、その森で働いている人がいることや木の良さを知ってもらえたら幸せです。なので自分の夢に終着駅やゴールはありません。
今に納得していないならアクションを!
―――最後に読者の学生にむけてメッセージをお願いします。
人間いつか死にます。なので自分は最後に笑って死ねる生き方をしたいと思っています。
学生時代は、周りに夢を語っても馬鹿にされたり笑われることもありました。
ですが、実際にアクションをしてみたら本当にたくさんの人が応援してくれるようになりました。なので現状に納得していないなら、馬鹿にされても笑われてもアクションを起こすべきだと思います。必ず応援してくれる人がいるはずです。
●株式会社東京チェンソーズ公式HP http://www.tokyo-chainsaws.jp/
●森谷隼斗さん @match8810 mixiキーワード:MATCH8810