住友ゴム工業の制震システム「MIRAIE」を、実際に一般家庭に販売している工務店に、なぜ「MIRAIE」を選ぶのか、その訳を聞いてみた。今回取材に応じてくれたのは、兵庫県神戸市で昭和30年から地場の建物を建て続けてきた、伊田工務店の伊田社長だ。(オルタナS関西支局特派員=赤司研介)
伊田社長は、家を建てる際に「安全」を一つのキーワードとして考える施主には必ず「MIRAIE」を勧めていると言う。その一番の理由は、低コストで安全性を向上させられることだ。
「地震から命を守るための技術にはずっと着目していました。しかし、これまでは免震技術を建物に取り入れようと思ったら、大体200~300万円かかってしまっていた。どうしても金銭的に余裕のあるお金持ちのものになってしまい、大切なことであるのに敬遠されがちでした。でも、MIRAIEは比較的安い金額で提供ができる。お客さんも、それくらいの金額であればつけたいという人が大半です」
伊田社長が積極的に制震の技術を推奨するのには、阪神淡路大震災での体験が大きく影響している。震災当日、伊田社長が自宅で就寝中に大きな揺れを感じて目を覚ますと、壁際に設置していたテレビが飛んできたのだそうだ。「一瞬目を覚ますのが遅かったら死んでいたかもしれない」と当時を振り返る。
「うちで建てる建物の耐震性には当然ながら自信があります。実際に阪神淡路大震災でも、うちが建てた建物は一軒も倒れていませんでした。建築屋として、そこは絶対にクリアしなければならないところだと思っていますが、しかし、家の中のことはまた別です。“中にいる人間”を守るためには、揺れを抑える制震の技術を取り入れることが、ワンランク上の安全を届けることになるはずだと感じています」
そして、もう一つの理由が「信頼」である。住友ゴム工業と伊田工務店は、目と鼻の先にあるいわゆる地元を同じくする企業。そこには、活発な意見交換ができる関係性があるのだ。
「製品の性格上、制震システムの効果は地震が起きてみないと本当のところはわからない。ただ、限りなく本当の地震が起きたときに近づけて実験を試みるなど、企業努力をする住友ゴムさんと密に話しをさせてもらって、業種は違えどプロフェッショナルとして信頼している。だから私は、胸を張ってお客様にお勧めするんです」
家は何よりも、危険から命を守れる場所であるべきである。これから家を建てようと考える人たちが、暮らしを楽しめる空間であることの前に、何を大切にするのか、改めて考えるきっかけにしてもらえればうれしい。