農業関係者の間では、政府が減反制度の廃止を打ち出したことが話題になっている。補助金で作付けを左右される農家にとっては、国の政策一つで生産調整を混乱させられる苦労が減ることを期待したいところだろう。(今一生)

ベランダで栽培できる「俺米」(9月17日時点)

もっとも、消費者側には、本格的に農家を目指すというより、「自分の食べる米を自分で作ってみたい」と望む人たちが若い世代に増えつつある。

家庭菜園はmixiコミュニティでも人気だったが、自宅のベランダや庭などごく小さなスペースを使って稲作を始める人も現れている。2013年9月末にはフェイスブックにも「俺米club!」というページが登場し、ベランダのバケツで稲作をしている様子を、芽出しから中干し、落水、収穫までの画像をアップし、共有している。

同ページを作成したのは、日本大学文理学部の学生・外村康一郎さん(18歳)だ。「バケツ稲作」で用意するものは、15L以上のバケツ、黒土5L、赤土5L、鹿沼土(あるいは荒木田土2L)、種もみ、肥料のみ。

4月20日に水に種もみを浸して発芽を促す「芽出し」を行い、1週間で芽が出始めた。5月18日に田植えを行ない、7月13日には水を抜いて2日ほど乾燥させる「中干し」をした。そうすることで稲は根を伸ばし、水を探す。その伸びた根がその後の成長を助けるのだ。

夏になると米が折れてしまう突発的な風雨の危険もあるが、バケツ稲作では室内に簡単にしまえる。8月24日には稲の花が咲き、9月17日には米粒が黄金に色づいたため、水を抜いて1週間後に刈り入れ、乾燥させた。

「バケツ一つで1合と少しぐらいの収穫ですが、これを壁や天井に吊るして1週間乾燥させれば食べることができます。来年はもう少し量を増やしてみたいです」(外村さん)

ユネスコ(国連教育科学文化機関)は「和食」を無形文化遺産に登録することを決定した。家庭菜園的な稲作のスタイルとマニュアルも、輸出できるコンテンツとして欧米に輸出できるだけの魅力を十分に有しているだろう。

なお、バケツ稲作を試みたい方には、同ページから住所とメールアドレスを送れば、種もみと肥料を1000円から全国へ発送してもらえる。

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