「ソーシャル・ビジネスの魅力を学生にも知ってもらいたい!」――そんな思いから、ソーシャル・ビジネスが盛んなバングラデシュへ赴き、現地で生産者と日本で使う人をつなげ、どちらも幸せになれるオリジナルのバッグを慶應義塾大学公認学生団体S.A.L.が企画・販売している。(フリーライター=今一生)
彼らは2012年9月に10日間バングラデシュに足を運び、ソーシャル・ビジネスについて学んだ後、このプロジェクトを進めてきた。第一弾のトートバッグは、どんな服にも合うシンプルなルックス、A4がきれいに入る大きさ、スマートフォンと定期が入るポケットと、とっても使いやすいデザイン。
色はアイボリーで、生地はコットン。単価は手売りで800円、オンラインショップでは1050円だが、ツイッターとフェイスブックで告知されるイベントなどで発売し、既に1100個を完売した。
第二弾として、オリジナルクラッチバックも作り、これも既に500個を完売。パソコンケースとしても使える優れ物で、13インチのパソコンがピッタリ入る大きさ。中にはクッションが入っている。小物や教科書を入れて持ち歩くのにも便利だ。
S.A.L内でTo2Bagプロジェクトの2代目代表を務める慶応義塾大学文学部3年生・林優衣さんによると、「バッグはダッカにあるAACHOL(アチョル)という工場に発注して製造している」と言う。
「30人いる団体のプロジェクト・メンバーでデザインやプロダクトを企画し、現地工場とサンプルを英語メールでやりとりしながら検討し、発注しています。価格には工場からの送料・税関での支払いなどのコストを乗せてはいますが、純利益は団体や学生へ還元せず、工場へ提供しています」
夏と春にはスタディツアーとしてメンバーが現地に自己負担で訪れたり、広報は学生が制作する雑誌へ掲載したり、在庫商品をメンバーの個人宅に保管するなど、学生たちは精力的に活動している。
小規模事業者の場合、前々年の売上高が1000万円以下の場合、その年は消費税を納めなくてもいいため、売上高の上限までのビジネスに設定している。
「トートバッグが好評だったので、これに改良を加えたデザインのものを600個新たに発注しました。これを継続的に売りながら、第3弾の商品を秋に発注予定です」
こうしてアジア最貧国バングラデシュの国民の雇用を守る活動が継続される。こうした学生によるソーシャル・ビジネスは今、全国で盛んに試みられている。
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