カリブ海に浮かぶリゾート地ジャマイカでも原子力発電所の話題は無関係とは言えない。レゲエの神様ボブ・マーリーの孫娘であるドキュメンタリー映画製作者ドニーシャ・プレンダーガストが今年訪日した。

透き通る青い海と、輝く白い砂浜が広がるカリブ海。ひとたび原発 事故が起これば、この美しさも失われてしまう。


5月、石巻市のcoffee shop ROOTSで行われたイベントでは「日本政府が原発を売り込んでおり、ジャマイカ政府は前向きだ。日本の意見をジャマイカに持ち帰り伝えたい」という話をしたという。

東日本大震災の直後、3月30日に出た記事がこの事実を示している。記事によれば在ジャマイカ日本大使山口裕志氏はジャマイカ・オブザーバー社の取材に対し、「ジャマイカ政府、そして国民が原子力発電を諸問題の解決に適切だと判断し、その実現に向けて動くのであれば、日本は喜んであなたがたの助けになる全ての情報を提供させていただきたい」と発言している。

ジャマイカの電気代は原油価格の高騰の影響を受け、現在は個人家庭向けでは1kwあたり14.36ジャマイカドル(約13円)。電気代を払いたくないばかりに盗電が横行し、さらに電気代が上昇するという悪循環に陥ってもいる。加えて気候変動への対応も避けられない。

山口氏はさらにこう加える。

「ジャマイカはかつて私たちが抱えていたのと同じ状況にいるでしょう。つまり、100パーセントの燃料を海外から輸入しているということです。それに対して日本がしてきたことは燃料の供給源を多様化するということに他なりません。来たる2030年に向けてどうジャマイカの発展を考えるかにもよりますが、日本の経験はおそらくジャマイカでも重要なことです。原子力発電への有意はあなたがたが決めることですが、私たちはあなたがたが選択した未来のために情報を提供することができるのです」。

記事中で山口氏が述べた通り、ジャマイカと日本は共通点も多い。島国だということ、発電の燃料を海外に頼っていること。しかし皮肉なことに、地震国であることも共通している。

ここ近年では大地震は起きていないが、パイレーツオブカリビアンでおなじみの海賊の拠点であったポート・ロイヤルは1692年の地震で崩壊し、一部の町と共に数多くの宝物が海底に沈んだという。

ジャマイカで原発を推進し、福島のような原発事故が起きたらどうするのだろうか。ジャマイカは日本と違い、国土は秋田県と同じ程度だ。原発事故が起こり、もしジャマイカが住めない国になったとしたら、この責任は誰が取るのか。福島県どころの話ではない。

確かにジャマイカでは短時間の停電は度々発生し、インフラもまだまだ十分とは言えない。しかし、本当に原子力発電が必要なのかどうか、ジャマイカ人には慎重な選択をして欲しいと願う。(オルタナSジャマイカ支局特派員=原彩子)


◆Japan willing to help JA go unclear
http://www.jamaicaobserver.com/environment/japan-willing-to-help-ja-go-nuclear%EF%BC%BF8597499