グランフロント大阪で 8月3日、「弁当の日」イベントが開催された。大人向けには「弁当の日」を提唱する竹下和男氏の講演会が開かれ、90人が参加。別室では小学4~6年の児童20人が「子ども達だけのお弁当づくり」に挑戦、完成後は親子でお弁当タイムを楽しみ、会話を弾ませた。(オルタナS関西支局特派員=土井 未央)

自分で作ったお弁当を、お母さんと一緒に食べた

自分で作ったお弁当を、お母さんと一緒に食べた

近年、親の過保護やコンビニ、ファストフードの台頭で、台所に立つことなく育ち、大人になっても料理をしない人が増えている。そのため、栄養バランスを崩して健康を害したり、成長期に丈夫な身体を作れないといった問題も広がっているという。

「弁当の日」は2001年、香川県の滝宮小学校で当時校長だった竹下氏の発案で生まれた、食育の取り組み。5、6年生が月に1度、お弁当を作って学校に持参する。親の手を借りず献立から買い出し、調理、盛り付け、片付けまでの全てを一人で担う。

お弁当づくりを通して子どもたちは「食の大切さ」や「作る楽しみ」を体感し、普段作ってもらっていることへの「感謝の気持ち」や「自己肯定感」が芽生える。親は子どもの成長を実感し、見守ることを覚え、子育てを楽しいと感じるようになるという。

家族の絆を深める「弁当の日」は共感を呼び、今では全国1400校以上で実施されている。竹下氏は2010年3月の定年後も精力的に講演・執筆活動を展開。子どもたちを取り巻く環境を変えようと、全国を飛び回っている。

「弁当の日」の提唱者、竹下氏の講演に約90人が聴き入った

「弁当の日」の提唱者、竹下氏の講演に約90人が聴き入った

■子どもに、家族から喜ばれる体験を

この日の講演では「日々のくらしの中にこそ、親が伝えるべきことがある。子どもたちを台所に立たせ、家族に喜ばれることを体験させて欲しい」と話し、「子育てを楽しむ親に育てられた子どもは、将来子育てを楽しむ親になっていく。まずは台所から、次世代へのバトンタッチを始めませんか」と、参加者にメッセージを送った。

「子ども達だけのお弁当づくり」に参加した小学5年生の長内 有宙(おさない ゆうま)君は、お弁当を食べながら「自分で最後まで作れたことが楽しかった。また、家でも作ってみたい」と、にっこり。母親のめぐみさんは「生きていくには、食べることが一番重要。今日は、子どもの成長も感じることができました」と話した。

同イベントは積水ハウスがCSR活動の一環で年に一度開催し、今年で3回目。4日には「第8回キッズデザイン賞」の上位賞発表で、全受賞作品272点の中から、子どもの生きる力をはぐくむ「お弁当の日」応援プロジェクト(事務局 株式会社共同通信社、参加企業 積水ハウス、クリナップなど8社)が、優秀賞 消費者担当大臣賞を受賞した。

これは、学校やPTAを中心に広がってきた「弁当の日」が、「食育」に関心のある複数企業のバックアップを受け、各企業の施設や独自のノウハウなどを生かし、啓発の場として新たな広がりを見せていることが認められたもの。

弁当の日公式サイト:http://d.hatena.ne.jp/bentounohi/
キッズデザイン賞 上位賞発表プレスリリース
http://www.kidsdesignaward.jp/2014/news/pdf/n20140804.pdf