三井不動産レジデンシャルとオルタナS編集部は1月28日、学生コミュニティアイデアソンを行った。テーマは、「これからの集合住宅」。高齢化、核家族化、介護問題など、この先都市で顕在化が予測される社会的課題に対応したマンションについて、大学生たちが考えた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

アイデアソンのゲストの横尾さんの話を聞く学生たち

アイデアソンのゲストの横尾さんの話を聞く学生たち

アイデアソンに参加したのは、コミュニティデザインや地域活性に興味のある大学生ら8人。4人1組のチームに分かれ、三井不動産レジデンシャルが出した課題について答えた。

アイデアソンのゲストには、NPO法人グリーンバード代表で港区議会議員の横尾俊成氏を迎えた。横尾氏は、グリーンバードの活動の広がりを元に、コミュニティデザインのポイントについて説明した。

■「弱いリーダー」で、周りを巻き込む

グリーンバードは、各地域でチームをつくり、早朝に集まりゴミ拾いを行う。いまでは、その活動は世界69の地域に広がっている。活動を広めてきたなかで、横尾氏が意識しているのは、「2:6:2の法則」だと言う。両端の2は、すでに参加している層と興味がない層。横尾氏は、真ん中の6をいかに動かせるかがカギと指摘する。

6は、潜在的に社会の役に立ちたいと思っている層。そのため、グリーンバードの活動では、すでに社会貢献活動をしている2の層に伝えるのではなく、潜在層に積極的に声をかけているという。そして、特徴的なのは、声のかけ方だ。社会貢献にそこまで関心を持たないため、こう伝えている。「朝合コンに来ないか」。

さまざまな団体とコラボレーションするさいのポイントにも触れた。それは、「弱いリーダーシップ」だ。横尾氏は、「リーダー一人の存在感が強いと、そのリーダーがいなくなったときに、団体が存続できないことがある」と話す。周りのメンバーにどんどん役割を与えて、任せていくことがコツと伝えた。

アイデアソンのテーマとして、同社が出した課題は2つ。1つは、高齢化・核家族化が進み、ライフスタイルが多様化するなかで、都市の集合住宅のあり方を考えるセッション。2つ目は、郊外に位置するマンションのメリットについて。

モデルルーム内の好きな場所で各チームが話し合ってもらった

モデルルーム内の好きな場所で各チームが話し合ってもらった

アイデアソンの舞台は、会議室ではなく、同社が運営していた大崎のモデルルームを使用。家具や小物類などは、展示していたそのままで置いてある。各チームで好きな部屋を決めてもらい、その場所で話し合った。

セッション1では、高齢者が若者の夢を応援するという形で交流するマンションを考えた。名付けて、「ファンディング×マンション」。高齢者は、応援したい若者がいれば、「家賃補助」という形で支援できる仕組みだ。

自産自消をうながし、生きがいを与えるマンションという発想も生まれた。「カオス・コミュニティ・カフェ」だ。そのカフェでは、入居者が部屋で栽培した野菜を販売する。家庭菜園はリタイア後の人の生きがいにもなる。通常、集合住宅内にコンビ二やカフェを入れる場合は、一定の世帯数を満たす必要があるがこのカフェは入居者で運営するため、世帯数には左右されない。

各チームで話し合ったプランを発表し、三井不動産レジデンシャル社員からフィードバックを受けた

各チームで話し合ったプランを発表し、三井不動産レジデンシャル社員からフィードバックを受けた

セッション2では、「郊外に求めるマンションのメリット」を考えた。生まれたのは、都市部や最寄り駅への居住者専用バス移動の車中で、住民たちにちょっとしたお願い事を共有し、移動を楽しくする仕組み。都市部までのバスに乗ればのるほど、ほかの入居者が知れて、もしかしたら自分の困りごとを解決してもらえるかもしれないというものだ。

もう1チームでは、仕事場と家を一緒にし、家賃や交通費を削減し、プチぜいたくを楽しむというアイデアが生まれた。都市部に出なくてもいいように、保育園や仕事場、カフェ、スーパーなどを完備。交通費が浮くので、ちょっとした贅沢を楽しめる。

このアイデアソンは3回連続で実施しており、次回は最終回で2月10日に行われる。申し込みはこちら

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