2月28日、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県名取市閖上の仮設店舗が入る閖上さいかい市場が開業3周年を迎え、感謝祭が開かれた。通常の市場と異なるのは、出店した全店舗がレジアプリを導入し、顧客・売上管理を行ったことだ。会計業務を効率化できるので、人手不足を解消できるようになった。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

会計業務をクラウドで行うairレジ

会計業務をクラウドで行うAirレジ

市場では、30弱の仮設店舗に加えて、日本酒・たこ焼き・くし肉などのブースが出店していた。閖上産の魚介類をその場で焼いて食べるコーナーや、ボランティア団体が手作りした益子焼きの販売ブースも。さらに、その場で破格の値段で販売した、マグロの解体ショーなどがあり、活気を見せた。

マグロの解体ショーには人だかりが

マグロの解体ショーには人だかりが

特徴的だったのは、各店舗のスタッフが、iPadを持ちながら立っていたことだ。iPadを持っている理由は、レジアプリ「Airレジ」を導入しているからだ。同アプリは、リクルートライフスタイルが開発したもので、会計業務をクラウド上で行えるもの。

会計業務はPOSレジを購入し、顧客・売上・在庫管理などを行うが、POSレジは相場10~20万円ほどで震災で被害を受けた店舗に取っては高コストだ。同アプリは、無料でダウンロードできて、毎月のように機能をアップロードしているので、一般的なPOSレジと比べても「遜色ない」と、ネットビジネス本部のクライアントソリューションユニットの伊藤拓哉氏は言う。

リクルートライフスタイル ネットビジネス本部のクライアントソリューションユニットの伊藤拓哉氏

リクルートライフスタイル ネットビジネス本部のクライアントソリューションユニットの伊藤拓哉氏

導入店舗も増えている。2013年11月にリリースしたが、これまでに10万ダウンロードを達成した。同アプリの担当人員は当初、5~6人だったが、今では200人にのぼる。

アプリのダウンロード料も課金もかからないため、アプリそのものからはマネタイズは考えていない。伊藤氏は「店舗オペレーションの負担を軽減するお手伝いをしていく事が、結果としてリクルートの既存サービスへの出稿に繋がればいい」と狙いを説明する。

アイパッドを持ちながら接客する佐々木専務取締役

アイパッドを持ちながら接客する佐々木専務取締役

今回の閖上さいかい市場に同アプリの導入を推進したのは、閖上で佐々木酒造店を営む佐々木洋専務取締役。佐々木専務取締役は、「顧客のニーズ把握や客入りピークの時間帯などが簡単に統計データに出せる。市場でも導入することで、イベントの質を高めたい」と話した。

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