日本財団は4月15日、横須賀市と特別養子縁組を推進するパイロット事業に関する調印式を開く。同事業の実施には、「ソーシャル・インパクト・ボンド」という社会的インパクト投資モデルを試験的に採用し、これは日本初の取り組みだ。社会的養護を必要とする子どもに家庭環境を整備し、自治体の公的コストの削減も同時に目指す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
ソーシャル・インパクト・ボンドとは、行政が取り組んでいない事業を、民間投資で行い、行政がその成果に対する対価を支払うモデルのことを指す。事業の実施による社会的コストの削減分や納税・社会保険費支払いなどの増加分が償還の原資となる。公的サービスの生産性向上や、財政負担の軽減が期待できる。今回、試験的に採用することで日本初の試みとなる。
横須賀市には2つの児童養護施設があるが、それだけでは足りず市外の施設も利用している状態だ。同事業で、行政の経済的負担を軽くし、施設養護から家庭養護への移行をさらに加速させる。
産みの親が育てることのできない子どもは日本に約4万人いる。そのうち約85%が施設で暮らしている。一方で、日本での養子縁組希望者や里親希望者は急増しており、1万人程度いると推計されている。しかし、行政による里親委託は2013年度に約4600人で、海外主要国と比較し、施設で暮らす子どもの割合が極めて高い状況だ。
養子縁組だけではなく、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入は、就労支援・高齢者医療・再犯防止などの領域で検討されている。
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